膝蓋骨内方脱臼に対する滑車溝形成術を過去に2回受けた体重1.4kg, 1歳のポメラニアンが, 患肢の疼痛, 破行を主訴として来院した。X線検査により膝蓋骨内方脱臼の再発が発見され, 再度外科的治療を試みた。術中所見として, 大腿骨滑車領域の軟骨下骨は深く削られており, 潰瘍性炎症を生じていた。この症例に対して, 大腿骨外側顆を軟骨弁として利用した滑車溝再建術, および大腿四頭筋の整復術を行った。術後90日目までの術後経過は良好であり, 本手術方法は, 関節固定術の適用を考慮する以前の新しい滑車軟骨の再建術として有用と考えられた。
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