獣医麻酔外科学雑誌
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32 巻, 2 号
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  • 佐藤 敏彦, 千葉 達成, 佐々木 泉, 大草 潔
    2001 年 32 巻 2 号 p. 31-37
    発行日: 2001/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肝臓腫瘍の犬7頭に摘出手術を行った。これらの症例の臨床症状は体重減少 (全例) , 食欲不振 (6例) , 下痢 (4例) 等であり, また全例で腹部に腫瘤塊が触知された。術中所見では7例とも腫瘍と周囲組織との癒着がみられ, 大網と腸管は全例で癒着していた。これらのうち5頭は緩和的な減容積手術として肝葉切除術を実施したが, 1頭は多発性結節病変のため手術適応外であり, 1頭は後大静脈, 後腹膜との強固な癒着のため摘出不可能と判断し, 飼い主の承諾を得て術中安楽死とした。肝葉切除術を実施した5頭は良好な回復を示し, うち3頭は1年7ヵ月以上の生存がみられた。
  • 瀬野 貴弘, 泉澤 康晴, 都築 圭子, 山下 和人, 小谷 忠生
    2001 年 32 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 2001/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    臨床症状, X線およびCT検査所見から上腕骨離断性骨軟骨炎と診断した大型犬3例に対し, 腱切開や筋切開のない低侵襲の関節切開により離断骨軟骨片の摘出を行った。肘関節の遠位上腕骨内側上穎にOCDを生じた2例では内側からアプローチし, 離断片を除去した。翌日までに術後速やかな患肢の使用が見られたことから, 外科手術の有用性が示された。肩関節に発症した例では, 外側からアプローチし, 直径約5mmの軟骨片を除去した。手術時間は77分と短時間であったが, 患肢の正常な使用には1ヵ月を要したことから, 軟骨欠損部が大きい場合には, 軟骨の移植など補填による荷重対抗の処置が望ましいと考えられた。
  • 塩谷 香織, 太田 美奈子, 中山 裕之, 清田 修正, 望月 学, 西村 亮平, 佐々木 伸雄
    2001 年 32 巻 2 号 p. 45-49
    発行日: 2001/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    4ヵ月齢, 雄の雑種犬が出生直後からの頻回排便, しぶり, 便秘のため, 二次性に直腸脱を起こしていた。肛門からは腫瘤のようにもりあがっている粘膜が見られた。典型的ではないが, 何らかの原因による直腸脱と仮診断し, 開腹手術を行った。手術の段階で下行結腸の重複症が明らかとなり, 2つの腸管の間の隔壁を鋏で切開した。手術直後は白血球数の上昇, 総蛋白の低下, 体温上昇はみられたが, 正常に回復した。犬の重複結腸症を外科的に整復した例は少ないが, 今回行った方法で良好な結果が得られるものと思われた。
  • 丸尾 幸嗣, 岡野 篤, 清水 友美, 百田 豊, 小松 健二
    2001 年 32 巻 2 号 p. 51-54
    発行日: 2001/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    下顎ほぼ中央部に腫瘤を形成したウエストハイランドホワイトテリアの9歳, 去勢雄は膿瘍と診断され, 切開による患部の洗浄・消毒と抗生物質により治療されたが, 40日経過しても改善しなかった。そこで再度切開と壊死組織の除去による治療を試みたところ, 左下顎第1および2後臼歯が原因と考えられる外歯瘻と診断し, これらの2歯を抜歯したところ, 3-4日で排液が止まり, 2週後までに治癒した。下顎の難治性瘻孔は歯が原因となることを考慮すべきと思われる。本症例は下顎皮膚に開口する犬外歯瘻例としては極めて稀であると思われる。
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