効果的な麻酔前投薬方法を評価するため、猫の臨床例30頭に対して中用量メデトミジン(MED)500
μg/m
2-低用量ブトルファノール(BTR)0.2 mg/kgおよび低用量MED250
μg/m
2-高用量BTR 0.4 mg/kg 併用と高用量MED1,500
μg/m
2単独とを比較検討した。すべての猫は、上記いずれかの前投薬後、麻酔マスクによるイソフルラン吸入麻酔下で不妊または去勢手術を施された。高用量MED単独および中用量MED-低用量BTR併用では心拍数減少、体温下降、覚醒時間の延長が認められたが、低用量MED-高用量BTR併用では、これらの反応は認められなかった。副作用として高用量MED単独では数例の猫で嘔吐がみられたが、MED-BTR併用では、一例も認められなかった。また、これらの前投薬により、すべての猫で臨床的に有用な鎮静効果が認められた。高用量MED単独では、覚醒時および覚醒後にやや興奮する症例がみられたが、MED-BTR併用ではほとんど認められなかった。猫におけるMED-BTR併用筋肉内投与は十分な鎮静効果、MEDによる嘔吐の防止、円滑な麻酔からの覚醒など麻酔前投薬として有用な効果を持つことが示唆された。
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