獣医麻酔外科学雑誌
Online ISSN : 1349-7669
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38 巻, 3+4 号
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総説
原著
  • 住吉 浩, 山田 英一, 吉見 泰, 長濱 正太郎, 西村 亮平
    2007 年 38 巻 3+4 号 p. 43-51
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    効果的な麻酔前投薬方法を評価するため、猫の臨床例30頭に対して中用量メデトミジン(MED)500 μg/m2-低用量ブトルファノール(BTR)0.2 mg/kgおよび低用量MED250 μg/m2-高用量BTR 0.4 mg/kg 併用と高用量MED1,500 μg/m2単独とを比較検討した。すべての猫は、上記いずれかの前投薬後、麻酔マスクによるイソフルラン吸入麻酔下で不妊または去勢手術を施された。高用量MED単独および中用量MED-低用量BTR併用では心拍数減少、体温下降、覚醒時間の延長が認められたが、低用量MED-高用量BTR併用では、これらの反応は認められなかった。副作用として高用量MED単独では数例の猫で嘔吐がみられたが、MED-BTR併用では、一例も認められなかった。また、これらの前投薬により、すべての猫で臨床的に有用な鎮静効果が認められた。高用量MED単独では、覚醒時および覚醒後にやや興奮する症例がみられたが、MED-BTR併用ではほとんど認められなかった。猫におけるMED-BTR併用筋肉内投与は十分な鎮静効果、MEDによる嘔吐の防止、円滑な麻酔からの覚醒など麻酔前投薬として有用な効果を持つことが示唆された。
  • 伊東 輝夫, 内田 和幸, 串間 清隆, 石川 憲一, 三川 和博, 柑本 敦子, 椎 宏樹
    2007 年 38 巻 3+4 号 p. 53-57
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    上皮系乳腺腫瘍の犬94例において、予後指標としての腫瘍サイズと組織学的浸潤度の関係を検討した。WHOのTカテゴリー(T1; <3 cm、T2; 3-5 cm、T3; >5 cm)あるいは組織学的な浸潤ステージ(S1; 浸潤なし、S2; 間質浸潤、S3; 脈管ないしリンパ節浸潤)によって全ての患者を3群に分類したところ、それぞれの因子の3群間全てに生存期間の有意差(p<0.05)が認められた。大きな腫瘍では組織学的ステージが進行した腫瘍が多く、T1、T2、およびT3の症例におけるS3の比率はそれぞれ、12.1、40.9、および71.4%であった。浸潤腫瘍40例(S2とS3)においては、T3の症例の生存期間はT1(p=0.016)あるいはT2(p=0.015)よりも有意に短く、浸潤腫瘍においてサイズが有用な予後指標であることが示唆された。Tカテゴリーと組織学的ステージを組み合わせて算出した致死率に従って患者を4群(クラス1~4)に分類したところ、クラス3と4(p=0.056)を除く全てのクラス間に生存期間の有意差(p<0.05)が認められた。以上の結果から、犬上皮系乳腺腫瘍では腫瘍サイズと組織学的ステージが重要な予後因子であり、大きな腫瘍ほどステージが進行している傾向はあるが、両因子を組み合わせることで、より正確に患者の予後を推測できることが示唆された。
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