猫の腫瘍1,070例を回顧的に分析した。腫瘍例は有意に高齢で雌に多かった。猫の悪性腫瘍確率は、麻布大学附属動物病院で分析した犬の腫瘍例の4.55倍であった。猫は犬の8.39倍リンパ腫に罹患しやすかった。雄生殖器系腫瘍・骨関節系腫瘍・内分泌系腫瘍は、犬に比較して少なかった。悪性比率が高い部位は、泌尿器系・呼吸器系・乳腺・消化器系・頭頚部であった。犬と比較して、有意に悪性比率が高い部位は、頭頚部(5.18倍)、乳腺(4.55倍)、雌生殖器(3.64倍)、皮膚皮下織(1.64倍)であった。有意に悪性比率の低い部位は、骨関節系(0.16倍)であった。以上の結果は、猫の腫瘍の診療に有用な指標となると考えられた。
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