分娩前30日から分娩後40日までの総計169頭の乳牛 (ホルスタイン種) において血漿インシュリン様成長因子一I (IGF-I) 濃度と体重の変化を測定し, 関連を解析した。各個体の血漿IGF-I濃度は分娩後低下し, その後時間経過とともに上昇した。IGF-I濃度の低い泌乳牛は体重が減少し, 乳産生も牛群検定成績から期待される乳量より下回ったが, 血漿中の総タンパク質, GOT, GPT, 中性脂肪, 総コレステロール, NEFA, BUN, ケトン体は正常範囲内であった。これらの結果から泌乳初期の血漿IGF-I濃度が体重変化及び乳産生と最も強く関連していることが示唆された。体重変化及び乳産生はIGF-I濃度と強く相関しており, 他の肝機能の生化学的指標よりも鋭敏に反応するため血漿IGF-Iの測定は, 体重変化及び乳産生はIGF-I濃度の影響を強く受けていることから, 血漿IGF-I濃度の測定は肝機能や産乳能力の評価に役立つと考えられる。
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