獣医疫学雑誌
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第63回 獣医疫学会学術集会
1)セミナー それって「疫学」じゃないですか?!
2)一般演題抄録集
原著
  • 廣川 万莉, 関口 敏, 佐々木 羊介
    2024 年 28 巻 1 号 p. 40-49
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2025/01/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,バークシャー種母豚およびランドレース種と大ヨークシャー種のF1母豚を対象として,産次および季節間の生産性を評価することを目的とした。本研究は,南九州において,F1母豚を飼養する1農場と,バークシャー種母豚を飼養する1農場を対象とした。本研究では2018-2020年における分娩記録および初回交配記録を分析に用いた。F1母豚の分娩率を除き,両品種において初産母豚の個体生産成績が最も低かった(P<0.05)。一方で,産子数のピークは,F1母豚では2-4産であったのに対し,バークシャー種では3-6産であった。F1母豚およびバークシャー種ともに夏季分娩において低い産子数および分娩率がみられた(P<0.05)。F1母豚を飼養する農場における週間生産性と群構成との関連性について,週当たりの母豚数が増加するにつれて週当たりの離乳後初回交配日数7日以内の母豚割合および週当たりの平均分娩率が減少した(P<0.05)。バークシャー種母豚を飼養する農場における週間生産性と群構成との関連性について,週当たりの初産母豚割合が増加するにつれて週当たりの離乳後初回交配日数7日以内の母豚割合および週当たりの平均分娩率が減少した(P<0.05)。F1母豚とバークシャー種で産次間の生産性の傾向が異なることが示唆されたため,飼養管理や廃用計画などは品種によって変えることが推奨される。

  • 遠藤 友彦, 平田 滋樹, 早山 陽子, 山本 健久, 永田 知史
    2024 年 28 巻 1 号 p. 50-61
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2025/01/06
    ジャーナル フリー

    豚熱対策におけるイノシシの捕獲では,捕獲者を介した感染拡大のリスクが伴うため,行政から防疫措置の周知が行われている.しかし,捕獲作業時の防疫措置の周知状況やこれらを含む豚熱対策の課題について整理した事例はない.本研究では全国の都府県に対しアンケート調査を実施し,捕獲者への防疫措置の周知状況の把握と豚熱対策における課題整理を行った.アンケートの回答結果をもとに階層クラスター分析を行った結果,対策の取り組み状況が積極的,中程度,消極的の3つのクラスターに類別された.全体的に防疫措置の周知はチラシやポスターにより実施されており,衛生講習等は捕獲者が集う既存の学習会に併せて開催されていた.さらに,捕獲者への具体的な防疫措置について,靴や車両の洗浄・消毒など作業負担の少ない項目は周知されやすい一方で,手袋や防護服の着用など追加の作業負担を要し,物資調達など財政支援が必要な防疫措置は周知されにくいことが明らかとなった.これについては,学習会など行政側が普及啓発し易い環境の創出と,財政支援の体制整備を行い,周知向上を図る必要がある.また,対策の課題としては,いずれのクラスターでも関係部局・機関との連携体制が課題に挙がる一方で,各クラスターに特有の課題もみられた.これらについては,関係部局間での横断的な連携体制を整え,地域特性を考慮した豚熱対策を講じる必要があると考えられた.

解説
  • 大沼 学
    2024 年 28 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 2024/07/20
    公開日: 2025/01/06
    ジャーナル フリー

    Pathogens carried by wildlife pose major threats to biodiversity, livestock health, and public health. The Asia-Pacific region, designated as a biodiversity hotspot, also has high densities of humans and livestock, creating an environment in which pathogens can be easily transferred among wildlife, livestock, and humans. Thus, in the Asia-Pacific region, enhancing the exchange of information about wildlife infectious diseases can address biodiversity conservation, livestock health, and public health issues as well as contribute to the establishment of an early warning system for the next pandemic. In this context, the World Organization for Animal Health (WOAH) supports the networking of wildlife health experts in the region. Moreover, the Asian Society for Conservation Medicine (ASCM) facilitates the exchange of academic information about wildlife infectious diseases.

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