昭和32年12月, 工場受入時における原料牛乳の乳質をアルコール反応陽性乳を中心として調査し, おおむね次の結果を得た.
(1) 陽性乳のpH, 塵埃度, カタラーゼ, クロール, 酸度は正常乳に比し, 異常と思われるものが多い傾向を示した.
(2) 陽性乳の大部分はいわゆる低酸度二等乳であり, また熱凝固性はいずれも認められなかった.
(3) 細菌数, 白血球数では両者に差が認められなかった.
(4) 乳糖, カルシウム, 無機燐では正常乳が多く, 蛋白質, 脂肪, 固形分では陽性乳が多い値を示したが, 両者に著明な差は認められなかった.またカルシウムを除き陽性乳は正常乳に比し, 測定値のばらつきが多く, いろいろな乳汁の混在が予想された.
(5) 細菌数の多いもの, またはアルコールに不安定な状態にある牛乳が, 正常乳として受入れられるもののうちに相当例存在することが予想される. BCPアルコールテストによる色調判定は, さらに検討を要する.
以上の所見から乳質改善という事業はすでに分泌された乳汁からはじめられるべきではなく, その前段階, すなわち全面的な酪農指導を獣医学的見地から行わなければ達成できないものであることを痛感する.
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