乳熱, 産後ケトージスなど分娩後に発生する疾病の発生機序や様相を知るために, 健康な正常分娩牛14頭を主として, ケトージス牛7頭, 乳熱牛9頭の計30頭について, 分娩前後数十時間内における, 血糖, 血清IP, Ca, Mg, Na, K, Cl, NPN, Grcs反応, 血清蛋白, 尿ケトン体, 尿糖, 血液凝固時間について観察した. その結果次のような成績を得た.
1. とくに血糖の変動が著るしく, 血糖は正常分娩牛で分娩直後から急激な増加がみられたが, これは分娩後15時間で回復した. 乳熱牛も同様に増加したが, 分娩後15時間前後では平常時に回復せずさらに維時された. ケトージス牛では分娩前後を通じてほとんど変動がみられなかった.
2. IP, Ca, Mg, Na, K, Htは, ケトージスおよび健康群においてそれぞれ多少の変化が認められたが, とくに著しい変動はみられなかった. しかし乳熱牛では分娩直前より低Ca, 低IP, 高Mgの傾向を示し, 分娩後10時間前後からゆるやかなK, Naの減少がみられた.
3. 血液凝固時間は一般に分娩直後に短縮したが, 乳熱牛では短縮がみられなかった. これは血中Ca++の減少と関係するのではないかと思われる.
4. Cl, Hb, 尿糖, 尿ケトン体, グロス反応, 血清蛋白, A/Gは一定の傾向を示さなかった.
以上の変化は少なくとも, 分娩ストレスが生体に対して, 生理的, 内分泌的に影響を与える結果生ずるものと思われるが, この成績からすれば既知の報告よりも健康であれば, 分娩によるストレスの回復はかなり早いものと思われる.
抄録全体を表示