家畜の寄生線虫類の広範囲駆虫薬Tetramisoleを牛に使用する場合の安全性を知るために, 延73頭のホルスタイン雄子牛を用い, 急性毒性試験を行なった.Tetramisoleはdlおよびl型の2種を用いた.
dl型は常用量の2~6倍を経口的に,
l型では, 常用量の1~8倍を筋肉内に, 1~4倍を経口的に, 2~8倍を皮下にそれぞれ投与して, 臨床症状, 局所反応, 心機能および血液性状などについて観察した.得られた結果は以下に要約される.
1. Tetramisole投与により発現する臨床症状は, 流涎, 排糞回数の増加, 興ふん, 心悸亢進, 強直性歩様および躯幹筋の震せんなどである.
2. 臨床症状は, dl型経口投与では, 常用量の3倍以上 (37.5mg/kg), l型筋注では2倍以上 (15mg/kg) でより強く発現したが,
l型経口投与では, 4倍投与でも軽微であり,
l型皮下注射ではほとんど全身反応を示さなかった.
3. 筋肉注射による局所反応は, 出血および筋肉変性などであるが, 吸収は速かで, 1週後には, 注射局所はほとんど痕跡程度の変化を認めるのみであった.皮下注射では強い局所反応を示し, 皮膚は壊死脱落におちいった.
4. 致死量は, l型筋注で60mg/kg前後であり, その他の投与では測定されなかった.
5. 本剤投与により, 脈拍数は増加し, 心電図では, TP間隔の短縮とSTの上昇, T波の増高が認められ, これらの変化は臨床症状と平行していた.
6. 血液検査所見は, 白血球数の一過性の増加と, これに伴う好中球の増加およびリンパ球の相対的減少が臨床症状と平行して認められた.肝および腎機能には著変が認められない.
7. 毒性の発現は投与法により異なり, 経口投与より注筋でより強い.
8. 以上の結果から, Tetramisoleを牛に使用する場合は,
l型の経口投与が安全域広く, 最も推奨し得るものと結論される.
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