ホルスタイン種雄子牛30頭に牛肺虫感染子虫を経口投与して, 第1期子虫の排泄状況, 臨床症状を観察し, 併せて各病期における肺の病理所見を観察した. さらに12頭の実験感染牛を用いて, 感染子虫数と牛の栄養状態が子虫の排泄状況および臨床症状におよぼす影響について観察した. 得られた結果は以下のとおりであった.
1) 糞便中の子虫排泄の定型的な型は, 感染後3-4週目より始まり, 5-6週目にピークを形成して, 9-10週目にはほとんど陰転する. 子虫排泄のパターンは感染子虫数によって異なり, 感染子虫2, 500匹程度の低度感染では, 排泄LPGも少なく, ピークを形成ぜずに約100日間にわたって子虫を排泄し続ける. このような牛は保虫牛として感染源となる可能性が考えられる.
2) 実験感染による臨床症状は, 感染後3週目から認められる発熱, 呼吸数の増加などの肺炎症状で, 約12週後にはこれら症状は回復する. 血液性状では2-3週と5-7週後に二峰性に好酸球数が増加する. 血清-globulinは4-5週目以降に増加する. 肺の病理学的所見では, 好酸球の浸潤を主とする化膿性気管支肺炎像を示し, その病変の程度はおおむね病状ならびに寄生虫体数に併行していた.
3) 子虫排泄のパターンおよび臨床症状の発現程度は, 感染子虫数および牛の栄養状態によって異なる.感染子虫10,000匹の高度感染では, 栄養状態のいかにかかわらず牛は発症し, 高いLPGを示すが, 感染子虫数2, 500匹以下による低度感染牛は, 栄養状態の良好は個体でLPGが低く, 不顕性感染例と同様な子虫排泄のパターンを示した. 5,000匹程度の中等度感染例でもこの傾向は認められた.
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