馬鼻肺炎不活化ワクチンが数回接種された馬の血清について, 馬白血球培養から作製された馬伝染性貧血 (伝貧) 抗原を用いて, 寒天ゲル内沈降反応 (AGID) 反応を行なったところ, 明瞭な非特異沈降線が出現した. この非特異沈降線の出現状況と, その沈降線の除去法についに検討し, 以下の成績を得た.
1) 馬鼻肺炎不活化ワクチンを4回以上接種した馬には非特異沈降線が出現し, この沈降線が著明な場合には, 伝貧の診断がきわめて困難か, 不可能となることがあった.
2) この非特異沈降線は, 伝貧抗原に含まれていた牛血清と, 抗牛血清沈降抗体が反応して形成されたものであった.
3) この抗牛血清沈降抗体を吸収するためには, 被検馬血清に, その1/4量の牛血清を添加し, 数秒間振とう混和することで十分であった.
4) 伝貧のAGID反応において非特異反応を呈し, 判定不可能な被検馬血清から, 上記の方法で抗牛血清沈降抗体を吸収し, その処理血清をAGID反応に供したところ, 伝貧の場合には, 特異沈降線のみが出現し, 非伝貧馬の場合には全く沈降線は出現しなかった.
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