野外で発生したブタインフルエンザ3例について病理学的に観察した.
症例1および2は発病後4日目にと殺し, 剖検した. 肉眼的には鼻腔および気管粘膜における粘液の増量, 肺の前部における肺炎巣および肺門リンパ節の腫大がみられた. 組織学的には気管支粘膜上皮の変性と再生を特徴とする気管支性肺炎, 鼻腔粘膜上皮の変性および呼吸器系の付属リンパ節におけるリンパ節炎がみられた.
症例3は明らかな臨床症状を示さずに急死した. 肉眼的には肺および気管粘膜は暗赤色を示し, 血様の滲出液に富んでいた. 組織学的には気管および気管支粘膜上皮の剥離および多形核細胞の浸潤, 気管および肺の重度な充出血水腫がみられた.
ブタインフルエンザは1918年, アメリカ中西部で最初に発生があり, 以来アメリカでは毎年発生が続いている.
わが国では1976年まではブタインフルエンザウイルス (Hsw, N
1) の抗体をもった豚はみられなかった.しかし, 1977年5月に新潟県下のと畜場に出荷された豚の肺炎病巣から本ウイルスが分離され. それ以後, 全国的に抗体の上昇した豚が発見されるようになった.
さらに, 1978年の冬には静岡県, 新潟県などで臨床症状を伴発生があり, 本病は豚の病気として重視されるようになった. しかし, 現在までにわが国で発生した本病は死亡率が低いこともあり, その病変について報告されていない.
著者らは, 1978年2月および11月に静岡県下で発生したブタインフルエンザについて病理学的観察を行なったので, その概要を報告する.
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