犬におけるキシラジン (2mg/kg) と塩酸ケタミン (10mg/kg) の合併麻酔および混合麻酔について検討した.
1. キシラジン筋注後15分おいて塩酸ケタミンを筋注した合併麻酔と, 両薬剤を注射筒内で混合して筋注した混合麻酔では, 両麻酔ともほぼ同じ経過を示し, 30-45分間は麻酔状態が得られ, 覚醒は早いにもかかわらず, その後の鎮静は比較的長く持続した.
2. 嘔吐は, キシラジン投与後および混合投与後数分で, 合併麻酔で50%, 混合麻酔で30%にみられた. また, 両麻酔とも徐脈は硫酸アト穣ピン前処置で防止でき, 呼吸数は麻酔期で減少し, 体温は1℃前後下降した.
3.平均大腿動脈圧は, 両麻酔で一過性の上昇がみられた. 4. 血液ガス, 酸塩基平衡では, 両麻酔ともわずかの動脈血pHの低下, PCO
2の上昇を示したが, 回復も早, 呼吸抑制は比較的少ないものと考えられた. 5. 血液性状では, 血糖の著明な上昇が, 両麻酔でみられ, 血球容積, 血色素量は減少傾向を示した. いっぽう, 血漿電解質には変化はみられなかった.
以上の結果から, 犬におけるキシラジンと塩酸ケタミソの合併麻酔および混合麻酔は, ともに大差なく良好な麻酔法と考えられる.
抄録全体を表示