岡山県某町の3戸の農家で昭和53年1月から4月にかけて繁殖雌豚25頭が無毛症の子豚を分娩した. 母豚は無症状で妊期は3-5日遅延する. 多くの場合, 同腹の中に娩出時すでに死亡しているもの, 哺乳力微弱で生後2-24時間で死亡するもの, 哺乳力のあるものなど初生時いろいろな状態で娩出されるが, 重症例では, 同腹全頭が死産であるもの, 生後数時間で全頭が死亡するものなどがある.
皮膚は浮腫状に腫脹し, とくに頭頸部・肩部に著しく, また被毛の密度が希薄でその発育も悪く, 下腹部・四肢に移行するにつれて貧毛の状態となる. 生存するものでは, とくに四肢下腹部の皮膚が機械的刺激によつて充出血するが1週間位で回復する. 死亡子豚の甲状腺は暗紫色柔軟栂指頭大に腫大する.
病理組織学的には, 皮膚の毛胞群の形成不全と被毛の発育不全, 過形成性の先天的甲状腺腫を示す. 血中蛋白結合ヨウ素含量は, 未哺乳子豚で平均103μg/dl, 哺乳子豚で2.93μg/dlで, ともに正常子豚に比し極端に少なかった.
自家配合飼料のヨウ素含量は0.19-0.24ppmであった.配合飼料に増産フスマを添加し, ヨウ素含量が低くなった自家配合飼料に起因して, 母豚にヨウ素欠乏が生じ発病した典型的な新生子豚の無毛症と診断した.
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