1978年6月から1年間に三重県中勢地方の一養鰻場で4群のウナギにヒレ赤病が連続発生した. 発症池の水温は, 27~29℃ で比較的高く, ウナギは動きが不活発となり, 水面遊泳し, 食欲不振となった. 主な剖検所見は, ヒレ, 腹部, 肛門の充出血, エラのうっ血, 肝, 脾, 腎, 腸の出血, 変色等であった. 病理組織学的検査により, 腎の尿細管上皮および腸の粘膜上皮の変性が認められた. 細菌検査により, 主要器官から
Aeromonas hydrohilaが分離され, 薬剤感受性試験で, オキソリン酸, オキシテトラサイクリンに極めて感受性であった. 本池の水質検査では, DO1.4ppm, 透視度15cmで最悪であり, プランクトンは, 珪藻類の増加がみられた. これらの所見から本病は,
A.hydrohilaの感染によって起こり, 池の水質, 水温, 密飼い等の悪環境下で病勢が強くなったと考えられた. そこで池の環境を改善するとともにオキソリン酸を投与することにより, その後本病の発生を防止できた.
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