昭和50年8月頃, 後頭部皮下に拇指頭大の腫瘤であったものが, 約4年放置されて小児頭大にまで成長し, 頭部の支持と歩行が困難となり上診された12才の雌pointerについて検索した結果, 腫瘍塊の形成が頭部皮下織に限局したイヌでは極めてまれな髄膜腫の一例であることが判明した. 初診時には, 頭部の巨大な腫瘤のため頭部をたれ, 元気は消失していたが臨床検査所見に特に異常なく, X線検査により腫瘤が頭蓋内とは連絡なく, 頭蓋外の皮下組織に限局していることが確認され, バイオプシーの結果, 髄膜上皮型の髄膜腫の特徴的な病理組織所見が得られ, 腫瘍塊の摘出手術を行なった.
その後, 正常に復した約9ヵ月を経て患犬は肺炎を起こし, 治療のかいなく死亡したため, 剖検したところ, 頭蓋骨内外側, 脳実質には異常は認められず, 右肺の横隔葉に大豆大から蚕豆大の転移巣が3個発見されたが, それ以外の諸臓器には特記すべき変化は認められなかった. 本症例の発生原因については, 患犬が2才頃に狩猟訓練中にうけた後頭部の散弾数発と密接な関係があるものと推察された.
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