緬羊のエペリスロゾーン症の自然感染例に遭遇し, さらに人工感染試験を試み臨床学的ならびに血液学的検索を行った.自然感染例と人工感染例はともに主な臨床症状として発熱, 貧血, 呼吸速迫, 心機亢進および血色素尿の排泄が認められた.自然感染例の血液塗抹標本では,
Eperythrozoon ovisは点状, 桿状, 球菌状, リング状, およびそれらが鎖状に配列するなど多様な形態を示し, 電顕的にも
E.ovisであることが確認された.人工感染例では接種後15日に
E.ovisが血中に出現し, 寄生率の増加にともない赤血球数, ヘマトクリット値, ヘモグロビン濃度が減少し, 貧血の極期には虫体はほとんど血中から消失した.人工感染例の骨髄液所見により,
E.ovisは末梢血で増加するのにさきだち骨髄で激増することが確認され, この点から骨髄が
E.ovisの増殖の主要部位と考えられた.今回遭遇した自然感染例は
E.ovisの保有羊であり, 輸送などのストレスによって発病が誘発されたものと推察された.
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