牛の子宮頸管経由による受精卵の移植で, 注入器によって細菌が子宮へ持ち込まれる頻度をみるために, 注入器に外筒をつけたものと, つけないものを使用し, 移植と同じ操作を行って, これらの器具に付着していた細菌の検出を行い, 次の結果を得た.
1) 試験に供した牛51頭の膣前庭における細菌叢を調べた. 好気性培養ではStreptococcus, Bacillus, Pasteurella, Escherichiaが35例 (68.6%), 16例 (31.4%), 12例 (23.5%), 9例 (17.6%) の割合で検出され, 嫌気性培養では, Streptococcus, Pasteurellaが35例 (68.6%), 21例 (41.2%) の割合で検出された.細菌の検出されなかったものは, 好気性培養で7例 (13, 7%), 嫌気性培養では11例 (21.6%) であった.
2) 外筒をつけなかった注入器からの菌検索は, 試験に供した21頭の好気性培養で, Streptococcus, Bacillus, Pasteureua, Escherichiaが12例 (57.1%), 9例 (42.9%), 6例 (28.6%), 6例 (28。6%) の割合で検出され, 嫌気性培養では, Streptococcus, Pasteurella, Escherichiaが, それぞれ10例 (47.6%), 8例 (38.1%), 6例 (28.6%) の割合で検出された. また, 細菌の検出されなかったものでは, 好気性培養で3例 (14.3%), 嫌気性培養で8例 (38.1%) であった.
3) 外筒付注入器からの菌検索では, 試験に供した30頭の好気性培養でBacillus, Micrococcus, Corynebacterium, Streptoccusが5例 (16.7%), 4例 (13.3%), 2例 (6.7%), 1例 (3.0%) の割合で検出されたに過ぎず, 22例 (73.3%) が陰性であった. また, 嫌気性培養では, 29例 (96.7%) が陰性で, 検出されたものはわずかに1例 (3.3%) に過ぎなかった.
4) Ureaplasmaを調べた10頭では, 膣前庭から全例10
1~10
4の範囲でUrcaplasmaが検出されたが, 外筒付注入器からは, 1例 (10%) が検出されたのみであった.
5) 検出細菌の薬剤に対する感受性を調べたところ, 比較的広範囲に感受性のみられたクロラムフェニコールを除けば, 各抗生物質とも感受性にバラツキがみられた.
以上の成績から, 本試験で使用した外筒は, 牛の受精卵移植における細菌汚染防止の最も有効な手段であると考えられた.
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