岩手県内6地区10牛群について, 1977年から1980年までの間に2ないし8回にわたり, 814頭から採血した2, 192例の血清について, 寒天ゲル内沈降反応を用いて, 牛白血病ウイルス(BLV)抗体陽性牛の動態を調査した.
抗体陽性牛は6牛群に見られ, A-b, B-a牛群では抗体陽性率の増加が認められた.A-a, B-b牛群では陽性牛の部分的淘汰により, 一時的な抗体陽性率の減少を認めたが, 放置すれば上昇することがうかがえた.D-a牛群では全陽性牛を分離することにより, 牛群の清浄化に成功した.またC-a牛群では3頭の陽性牛が存在したが, 1頭は移行抗体によること, 他はそれぞれBLVの垂直ならびに水平伝播によることが考えられた.4牛群では8~11ヵ月の調査期間を通じてBLV抗体は認められなかった.
夏季放牧後の陽性転化率は冬期舎飼後のそれに比べ, 有意に高かった.BLV汚染の強い1牛群では若齢で陽性に転化するものが多く, かつ地方病性牛白血病の発症年齢も若齢化する傾向が認められ, その発症率もきわめて高いことが示された.
これらの結果から, 岩手県ではBLVの汚染が拡大しつつあり, 水平伝播の役割が強く示唆され, 清浄化には陽性牛の摘発と分離が有効であることが論ぜられた.
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