サルモネラの感染は人獣を越えた非常に広い宿主域をもっている. SPF卵由来のひなおよび成鶏に
Salmuella typhiuriumを接種し, その感染様式を検討した.
ひなの感染試験ではク溶アカからの菌検索を実施したところ, 接種後1週間で-同居ひなを含む92%~100%から菌が検出され-感染率はきわめて高かった. 死亡した10羽は菌分離と組織所見から敗血症死が確認された.
成鶏の感染試験ではひなの感染試験に供した無接種同居の生残ひな259日齢のものに接種し1クロアカからの
S. typiuriu検索を実施した. 接種3週以降になって, 10羽中の7羽から菌が検出された. 排菌の期間は短かったが, 糞1g当たg5.5×10
3個の菌量を棟出した. 接種48目後に剖検したところ-菌は実質臓器には認められず, 7羽の盲腸と, その他の1羽の直腸とから検出したが-クロアカから菌が検出されたものはすべてこの中に含まれていた. 卵の
S. typhimurium汚染を調べるために, 12羽が7日間に産卵した43個, 11羽が11日間に産卵した71個, さらに10羽が9日間に産卵した58個, 計172個について菌検索を実施した. 菌は122個中22個, 18%および消毒卵40個中1個, 2.5%から分離された. その後20日間に産卵された139個は菌陰性であった.
菌分離陽性のものは-常に卵黄と卵殻の両者から菌が分離された.
鶏における
S. typhiuurium感染試験から, ひなの感染率はきわめて高く, 成鶏は保菌状態となり, 卵が汚染し, 感染が繰り返されたことで, 重大な生産障害となるが, 卵の消毒で保菌卵がかなり減少することを明らかにした.
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