昭和55年に発生した豚コレラ発病豚から分離された山形株 (H亜型), 宮崎株 (中間型) および福島株 (B亜型) の3株を用い, 現行豚コレラ生ワクチン注射豚の感染防御効果を観察するとともに, 新分離ウイルス株の豚に対する病原性を比較検討した.
現行豚コレラ生ワクチン注射豚は, 新分離ウイルス株の攻撃に対し, その感染防御成立時期に若干の差を認めたが, ワクチン注射後5日目にはいずれの型のウイルス株に対しても感染防御が成立した. ワクチン注射後の中和抗体は, 山形株に対しややおくれて産生される傾向がみられたが, 他の株に対しては差がみられなかった.
新分離ウイルス株の豚と組織培養に対する感染価は, 宮崎株および福島株ではほとんど差がなかったが, 山形株では豚に対する感染価が組織培養での値よりも100倍以上高かった.
新分離ウイルス株の豚に対する病原性は, 山形株では大量ウイルス (100,000MLD) 注射では急性経過を示し, 7日目に死亡したが, 少量ウイルス (1MLD) 注射では12~16日の経過で死亡した. 宮崎株では注射ウィルス量による発病死亡までの日数にほとんど差がなく, いずれも10~14日の経過で死亡した. 福島株では発病死亡までの日数が3株中もっとも長く, 100,000MLD注射でも15~19日の経過で死亡した. 死亡豚の体内ウイルス分布は, 3株間にほとんど差がなく, いずれの場合も各臓器から大量ウイルスが検出された.
病理組織学的な検索では, 死亡豚の病変に株間で差が認められず, また従来の豚コレラ病変ととくに指摘できる差はなかった.
抄録全体を表示