日本獣医師会雑誌
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39 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 米国におけるPC・TC系飼料添加剤問題をめぐって
    吐山 豊秋
    1986 年 39 巻 5 号 p. 285-289
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 佐野 賢一, 平塚 博之, 近藤 和夫, 増沢 清治, 木村 誠, 村上 雅克, 一条 茂
    1986 年 39 巻 5 号 p. 289-294
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    乳用雄子牛の気管支炎または肺炎を主徴とする細菌性呼吸器感染例65例に対して, 塩酸アミノ酢酸チアンフェニコール (以下TP-Gと略) の治療効果を検討し, 以下の成績を得た.
    1) TP-Gをチアンフェニコール (以下TPと略) としてそれぞれ20mg/kg, 10mg/kg, 20mg/kg当て, 12時間間隔3回連続静脈内投与を行った結果, 回復した例が92.3%の高率に認められた.
    2) TP-G投与前の細菌学的検査 (20例) ではPasteurella multocida (20例), Ureaplasma sp.(11例) およびMycoplasmabovis (8例) が鼻汁より分離された.
    3) 分離されたP.multocida (20株) およびM.bovis (8株) に対する各種抗菌性物質のMICを調査した結果, P.multocidaに対してはペニシリン系およびTPが強い抗菌力を示した.また, M. bovisに対してはマクロライド系, テトラサイクリン系およびTPが強い抗菌力を示した.
    4) TP-G投薬による副作用は認められなかった.
    5) 以上の成績からTP-Gは, 子牛の細菌性呼吸器感染症の治療に効果的な抗菌薬であると判断された.
  • 木村 容子, 小泉 俊二, 佐藤 仲三, 砂川 政広, 本好 茂一
    1986 年 39 巻 5 号 p. 294-298
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ケトーシス発生の背景を知る目的で, 乳用牛の分娩前後における生理的諸元の変動に関する調査を行っているが, このうち分娩後の発情再起と血液生化学的所見の経時的な消長について報告する.
    供試牛は, 2産から6産までのホルスタイン種15頭で, 分娩後1週から10週まで毎週1回採血を行うとともに, 体重および乳量の測定を実施した. また, 卵巣等の状態を確認するため3ないし4日ごとに直腸検査を行った. 分娩後50日以内に初回発情が認められた6頭をA群, それ以後であった9頭をB群として両群の検査成績を比較した.
    A群の平均初回発情日数は34±9日で, B群は70±34日であった. 分娩後の体重はB群の1週および2週目に著明な減少が認められ, 両群の平均産乳量は全調査期間をとおしてB群が高い値を示した. 分娩後の血液成分の変動は, B群においてグルコースは全調査期間をとおしてA群よりも低値を示し, NEFAとアセト酢酸は分娩直後からA群よりも高値を示し, β-ヒドロキシ酪酸は常時A群よりも高い値で推移した.両群の総コレステロール, コレステロールエステルとリン脂質は, 分娩後1週目においてきわめて低い値を示したが, 日数の経過に伴って増加した.しかし, B群ではA群に比較し, 増加の程度が緩慢であった.また, B群の血漿VitaminAとCarotenoid濃度はA群に比べ全期間をとおして低い値で推移した.
    以上の結果から, 初回発情の遅延が認められたB群は高泌乳牛群であり, 分娩直後を中心にエネルギー代謝の不均衡に陥って脂質動員を招来し, Ketoticな傾向にあったことが観察された.
  • 谷口 佐富, 岩本 仁司, 福浦 弘幸, 伊藤 英雄, 界外 昇, 長門 芳一郎
    1986 年 39 巻 5 号 p. 298-302
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    三重県津市の一酪農家で, 1982年12月および1983年12月の2回にわたり, 同一牛群で牛の流行性下痢の発生があった.
    発生は主に成牛に認められ, 第1回発生時36頭中22頭, 第2回発生時47頭中24頭に激しい水様性下痢便の排出と急激な乳量の低下を認めた. すなわち, 第1回と第2回の発生をとおして飼育されていた牛は21頭であったが, このうち, 第1回, 第2回ともに発症した牛は12頭と半数をこえていた.
    両発生例ではともに下痢は3-6日で回復し, 死亡牛は認められなかった. 下痢便の病原検索で有意な細菌およびウイルスは分離されなかった.
    これら牛群の一部の牛ペア血清についての既知ウイルスの抗体検査では, 牛ロタウイルス, 牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルス, 牛伝染性鼻気管炎ウイルス, 牛アデノウイルス7型の抗体は陰性であったが, 牛コロナウイルス (BCV) に対するHI抗体が有意に上昇した牛が第1回発生時27頭中10頭, 第2回発生時10頭中6頭に認められ, 本ウイルスの感染が疑われた. すなわち, BCVのHI抗体は第1回発生後160-2, 560倍 (平均483倍) と全頭高い値を示したが, 6ヵ月後には20-80倍 (平均31倍) と低下し, 第2回発生後再び80-640倍 (平均205倍) と上昇した.
    再発生病牛12頭中, 検査した10頭のBCVに対するHI抗体価は第1回発生時の前血清の平均40倍から後血清では平均557倍に, 第2回発生時の前血清の平均30倍から後血清では平均233倍となり, いずれも後血清で高い上昇を認めた.
  • 野田 一臣, 福井 徳麿
    1986 年 39 巻 5 号 p. 305-310
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1982年10月から1983年1月の4ヵ月間に, 鳥取県中部の3養豚場で発生した新生豚の関節炎2例および死産1例から, Staphyzococcus hyicussubsp.hyicusが純培養的に分離された. 関節炎は2養豚場で生後2-3日齢の新生豚14頭に発生した. 死産は他の養豚場で胎齢90日の1腹13頭に発生した. これら3養豚場の繁殖母豚の体表スワブ21例中17例からS. hyicusが分離された.分離菌を血清学的に検討した結果, 症例由来の株間ではたがいに高い交差凝集性を示したが, 参照株ATCC11249株は片交差を示した. 寒天ゲル内沈降反応では, 分離菌23株はいずれも参照株と融合する1本の沈降線を形成した. 分離菌を用いて野外豚の抗体調査を行った結果, 定量凝集反応では月齢に伴って凝集価が上昇したが, 発生養豚場と非発生養豚場の問に有意差は認められなかった. また, 抗体は寒天ゲル内沈降反応では検出できなかった.
  • 伊藤 裕和, 小林 章二, 杉浦 洋一, 渡辺 広美, 足立 吉数
    1986 年 39 巻 5 号 p. 311-314
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1978年および1982年に豊橋市の異なる2養豚場で, 異常産のみられた母豚が多数観察された.
    1978年の発生例では4月から8月までに出産した母豚279頭のうち, 43頭が早産および死産した. 早産および死産した母豚は無症状であったが, 剖検したところ, 腎臓に灰白班がみられた. レプトスピラの抗体価を溶菌凝集反応を用いて測定したところ, 早産および死産母豚のほとんどが, Leptospira interrogansserovarcanicolaに対する抗体価が1,000倍以上を示した.
    1982年の発生例では8月から11月にかけ出産した母豚49頭のうち7頭で死産が認められた. 死産した母豚は無症状であったが, 剖検では, 死産母豚の腎臓に灰白班が散見された. この豚のL. interrogansserovarhebdomadisに対する抗体価は8, 192倍と高い価を示した.
    これらの知見から, 前者においては, serovarcanicolaの, 後者においては, serovarhebdomadisの感染による異常産であったと考えられた.
  • 丹治 敏夫, 岡崎 充成, 松村 和夫, 高橋 捷平, 中島 靖之
    1986 年 39 巻 5 号 p. 317-320
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    コリデール種, 雌, 5ヵ月齢の緬羊の多発性結節性動脈炎を病理学的に検索した.臨床的には, 食欲不振, 発熱, 鼻汁の排泄, 肺のラッセル音を呈し, 白血球数の増加 (18,000/mm3), GOT値の増加 (142KU), 血清総蛋白の減少 (4.49/dl) がみられた. 剖検により, 左右の腎臓の暗赤色化, 小黄白斑の密発, 弓状動脈壁の肥厚, 心室の拡張と肺の肝変化が認められた. 組織学的検索により, 全身性に, 中小動脈の内膜から中膜にかけてのフィブリノイド沈着, 内膜から外膜における単核細胞を主とした細胞浸潤が認められた. 血管病変以外には, 大脳の囲管性細胞浸潤, 第三胃粘膜, 腎臓間質, 肝臓のグリソン氏鞘内の細胞浸潤がみられた. 本症例はわが国ではその報告をみない子羊の多発性結節性動脈炎の1例である.
  • 古川 英幸, 立山 晉, 萩尾 光美, 山口 良二, 野坂 大
    1986 年 39 巻 5 号 p. 320-324
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    後躯の起立不能を主徴とする子牛25例に, 寛骨の形成異常を認めた. これらは形状の変化によって, 寛骨臼形成不全 (15例), 寛骨形状不整 (7例), 寛骨臼窩形成不全 (3例) の3つに分類された.25例中18例は, 合併症としてアカバネ病を伴っていた.
    今回の例では, 発生年齢が低いこと, 大腿骨頭の変化を伴わない点が, 従来報告されている股関節形成不全とは異なっていた. また, 本症の発生要因として, すべてにアカバネ病の関与を考えることは困難であった. 症例によって程度の差は認められるものの, 起立不能症の一因として先天性寛骨形成異常の関与が考えられた.
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