近時, SOMMER, MORRowらは高泌乳牛が泌乳初期にエネルギー不足に陥ると過度の脂肪動員が起こり, その結果, 脂肪肝となりケトーシスが発症することを報告している. このことから, ケトーシス牛に対して肝機能庇護作用があるとされているチオプロニン [2-mercaptopropionylglycine; MPG] の投与試験を行い, 治療効果と薬用量を中心に検討した.MPG剤投与前の供試牛のS-GOT, CPK, NEFA, BUN値は有意に高く, Glu. が低かったことから, 肝機能障害を伴ったケトーシスが疑われた. これらケトーシス牛にMPG剤50ml (2, 500mg) および100m
l (5,000mg) を静脈内投与したところ, 単用群で96.0%, 併用群で88.6%の高い治療効果が得られた.
また, 投与量別の治癒率からケトーシス牛に対するMPG剤の投与量は1回50m
l (2, 500mg) ないし100m
l (5,000mg) で5回以内が適当と思われた. 症状別による治癒効果の比較では, 消化器型が随伴型に比してやや高かった.
これらケトーシス牛に対するMPG剤投与が血液生化学的性状に及ぼす影響をみたところ, 予後良群においては, S-GOT, CPK, NEFA, BUN, Glu., Caは有意 (P<0.01, 0.05) に改善されたが, 予後不良群においてはこれらの項目のいずれにおいても改善がみられなかった. このことより, MPG剤によるケトーシス牛の治療効果の改善は肝の細胞代謝の促進, 糖代謝における酵素活性の増進, および脂肪代謝, 蛋白代謝などの促進によるものと考えられる.
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