日本獣医師会雑誌
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40 巻, 1 号
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  • 若尾 義人
    1987 年 40 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 阿久沢 正夫, 安田 宣紘, 小野 和則, 嶋田 雅之, 日高 敏雅, 佐々木 悟, 森園 充
    1987 年 40 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肥育中の黒毛私種牛に多発する血腫について, 49症例の病態を検索した. これらの発症牛のうち51.9%において, 正常より大型の顆粒を含有する好酸球が認められ (大顆粒群), 顆粒が通常の牛 (通常顆粒群) に比較して皮下病変の腫脹が大きく, 可視粘膜が蒼白で, 栄養状態は不良であり, 予後不良になる傾向が強く, 本病で廃用される牛はほとんどがこの大顆粒群に含まれていた.
    大顆粒群および通常顆粒群と, 正常対照牛群とを血液学的および血液生化学的に比較検討した. その結果, 大顆粒群において赤血球数, ヘモグロビン量, PCV, 血清コレステロール値およびリン脂質値の減少, リポタンパク電気泳動のα 分画の減少とpre-β 分画の増加, 血小板のコラーゲン凝集能の低下が有意に認められた.
    以上の知見から, 本病においては, 血小板凝集能および血清脂質の検査が診断上必要で, とくに好酸球顆粒の大きさの観察は予後判定, あるいは素因の有無を識別する指標になるものと思われた.
  • 清水 晃, 明石 三愛, 河野 潤一, 石丸 司, 葉杖 真二, 木村 重
    1987 年 40 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肝蛭症のマス・スクリーニソグに応用する目的で, 血液吸着濾紙を用いたゲル内沈降反応について検討し, 次のような成績を得た.
    1) 沈降抗原には成熟虫体1隻のPBS (10%w/v) 抽出, 遠心上清液を用いたが, 虫体間の抗原性に差異は認められず, 抗原として十分利用できることが判明した.
    2) 肝蛭人工感染家兎および山羊より得た血液吸着濾紙を約5mm角に切り, これを直接寒天ゲル上で抗原と反応させると, 家兎では感染後4~6週目より, 山羊では感染後3~5週目より1または2本の沈降線が認められた. なお, 感染前の家兎および山羊の血液吸着濾紙では沈降線は形成されなかった.
    3) 肝蛭人工感染家兎および山羊より得た血液吸着濾紙を0.2mlのPBSに入れ1時間室温に放置後, 得られた溶出液を採取し, これと抗原を寒天ゲル内で反応させた. 家兎では感染後5~9週目より, 山羊では感染後4~6週目より沈降線が認められた. しかし, 感染個体によって沈降線を形成しないものや, 陰転陽転を繰り返すものがあった.
    4) 血液吸着濾紙を室温 (20~25℃), 4℃ および-20℃ に保存した場合, いずれの温度でも少なくとも6週間の保存では沈降反応に影響をおよぼさなかった. 以上のことから, 血液吸着濾紙を用いたゲル内沈降反応は肝蛭症の診断に応用できるものと結論した.
  • 井上 勇, 栗原 智子, 島田 健次郎, 永野 治海, 斉藤 敏純
    1987 年 40 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    豚疥癬に対するナレド (エソダリン乳剤) の有効濃度を決定する目的で, 野外発症豚を使用して500倍, 1,000倍および2,000倍希釈液を1週間間隔で1頭当たり200mlを2回豚体に散布し, 増体率, 虫体の検出および皮膚病変について観察し, つぎの成績が得られた. 1) 散布4週間後の増体率は, 対照区と薬剤散布各区との間には差はみられなかった. また, 臨床的にも薬剤による副作用はまったくみられなかった. 2) 虫体は, 散布4週間後500倍区と2,000倍区は全例陰性であったが, 1,000倍区は11頭中1頭, 対照区は5頭中4頭に認められた. 3) 皮膚病変は, 薬剤の濃度に応じて治癒が早く, 500倍区では薬剤散布4週間後には1頭を除き正常となったが, 1,000倍区で4/11頭, 2,000倍区では6/11頭に病変が残っていた. 以上の成績から, 500倍濃度を1週間間隔で2回散布する方法がもっとも優れていることがわかった.
  • 菊田 安至, 大西 堂文
    1987 年 40 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    正常な一般家庭犬81頭の血清中のcreatine kinase (以下S-CK) 活性値を測定したところ, その平均値は27.31U/l, 正常範囲は8.0~72.0で, 正常ビーグル犬62頭では, 平均26.11U/l, 正常範囲は13.0~41.0であり, 一般に幼若犬で高い傾向が認められた. S-CKには3つのisoenzyme (以下IE) が認められ, 各IEの百分率の平均および正常範囲は, 一般家庭犬ではCK-MMが46.3%(9.6~83.0%), CK-MBが8.2%(3.5~16.7%), CK-BBが38.5%(3.8~73.3%) であった. ビーグル犬ではCK-MMが45.3%(20.0~70.3%), CK-MBが10.1%(4.6~14.7%), CK-BBが30.5%(14.7~46.4%) であった. なお, これら143頭中61頭でCK-MMの陰極または陽極側にサブバンドが認められた.
    また, creatine kinase (以下CK) 活性は, 調べたすべての臓器中に存在し, CK-MMは骨格筋や心筋に, CK-MBは平滑筋組織や心筋に, CK-BBは大脳や平滑筋組織に多い傾向が認められた.
    循環血液からのCKの各IEの半減期は, CK-MMが122.0分 (SD=23.9), CK-MBが125.7分 (SD=22.7), CK-BBが49.7分 (SD=11.0) であった.
    これらのことより, S-CKの測定は骨格筋や心筋, 平滑筋などの疾患の診断に有用であろうと考えられた.
  • 受精とミクロフィラリアの産生
    木原 滋陽
    1987 年 40 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    成熟した雌雄の犬糸状虫が多数寄生しているにもかかわらず末梢血からミクロフィラリア (mf) が検出されない例が少なくない. これらの犬の肺を穿刺して得た微量の血液に多数のmfとともに不受精卵とは異なる胚の変性した虫卵が検出されることがある. 犬糸状虫がmfとともに変性卵を産出するという報告はまったくみられず, またこれによる障害も知られていない. 変性卵が常時産出されるとすれば, その宿主に与える影響は小さくないであろう. この変性卵の由来を調べるには, まず正常な虫卵め発育過程を知る必要があるが, これに関する報告は少ない. そこで, 両性寄生の成熟雌虫体を解剖して, 卵巣から膣に至る生殖器を傷つけないように取り出し, 卵原細胞からmf産出にいたる発育過程を観察した. その結果, 正常な虫卵発生のみられるすべての虫体において, 20卵割前後の虫卵がみられる子宮上部の部位に, 胚細胞の萎縮した変性初期と思われる虫卵がみられた. この虫卵は若齢犬から採取した虫体では概ね同じ低い比率でみられたが, 高齢犬から採取した虫体には高比率のものが存在した. このことから, 変性卵の比率は虫体の加齢によって高くなることが予想された.
  • 沖田 紀行, 塙登 志子, 吉本 昌俊, 中山 良三郎
    1987 年 40 巻 1 号 p. 41-43
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    大阪市中央卸売市場南港市場において, 昭和60年12月から昭和61年2月までの3ヵ月間に, 牛の漿膜性心膜臓側板 (心外膜) に糸状虫が迷入し結節を形成した症例6例, および漿膜性心膜壁側板にも同様の症例2例を認めた. 結節から採取した虫体を形態学的に観察した結果, いずれもSetaria digftata (雄2隻, 雌8隻) の幼若虫と同定された. これらのことから, 牛の心臓へのS. digitataの異所寄生は, かなりの頻度で認められる現象であると考えられた.
  • 黒崎 嘉子, 天野 光彦, 栗田 吾郎, 檜山 充, 岡田 重宣, 渡辺 昭宣
    1987 年 40 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    埼玉県内のAと畜場で, 食用に供することを目的に採取された豚血液の衛生状態を調査し, 以下の成績を得た. 1) 1985年2月から1986年1月までに, Aと畜場には88, 853頭の豚が血液採取用として搬入され, そのうち2, 785頭 (3.13%) の血液が食用に供することは不適と判定された.2) 血液が食用不適とされた理由は, 生体検査では, 老齢, 発育不良, 病畜等, 内臓および枝肉検査では, 豚丹毒, 腫瘍等であった. 3) 血液が食用不適とされた豚で, 全身感染症を疑う豚や加療歴のある豚の血液は, 病原細菌や抗菌性物質を含有する危険の高いことが示唆された. 4) 採取した血液の第一次保管場所である検査前貯留槽に流入してくる血液からは, 平均で一般生菌数3.8×103/ml, 大腸菌群数3.3/ml, 黄色ブドウ球菌数2.4/ml, 耐熱性菌数1.2/mlが検出され, ウェルシユ菌, サルモネラは検出されなかった. 5) 豚の採血部位の皮膚表面および採血針からは, 各種の細菌が多数検出され, 採取された血液の汚染源の1つと思われた. 6) 定置洗浄設備 (CIP) による洗浄・消毒作用はかなりの効果が期待されたが, その使用方法については適正な配意が必要と考えられた.
  • 多久和 正, 古川 賢, 岡田 雪男, 白石 忠昭, 原文 男, 藤田 忍, 新井 伸雄, 御領 政信, 梅村 孝司, 板倉 智敏
    1987 年 40 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1984年6月から8月にかけて, 島根県下の5養鶏場の採卵用成鶏 (150~500日齢) に筋胃糜爛が多発した. その原因は, イワシを120~130℃ の高熱処理して作製した魚粉を含む (11.0~17.2%) 飼料であるとみなされた. 本例の主臨床症状ならびに筋胃病変は, 幼雛や若鶏で報告されている魚粉に起因した筋胃糜爛の症状ならびに病変とほぼ同一であった. 主臨床症状の1つとして産卵低下があったが, これは飼料摂取量の低下によってもたらされたと思考された.
  • 大石 明広, 坂本 紘, 田代 哲之, 安田 宣紘, 北野 吉秋
    1987 年 40 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    8ヵ月齢の雌のセッターの腹腔内に腫瘤2個が認められ, 受診まで無症状のまま経過していた. これらの腫瘤は, 生後約40日頃より認められていた. 種々の検査 (触診, X線検査, および超音波断層画像検査) により, 両腫瘤は硬く, 可動性を有し, 液体を充満させていることが明らかとなった. さらに, その大きさもテニスボール大とソフトボール大であり, 腹腔内中央部に位置していた. 以上の検査結果より, 腹腔内嚢胞と臨床的に診断されたが, さらに確実な診断を得るために試験的開腹が実施された. 両嚢胞は大網に包まれており, 小型の嚢胞は一部胃大弯部と漿膜で連続していた. また, 血管分布は左胃大網動より分枝した血管の分布を受けていた. 大型の嚢胞は小型の嚢胞とは分離しており, 脾動静脈由来の分枝血管が関与していた. 肉眼的および組織病理学的に, これらの嚢胞粘膜の構造は胃底粘膜の様相を呈していた. したがって, 以上の所見により本症例は臨床的ならびに病理学的に, 分類上, ヒトにおける消化管重複症と非常によく類似していた.
  • 藤永 徹
    1987 年 40 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 1987/01/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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