日本獣医師会雑誌
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40 巻, 10 号
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  • 冨永 健, 高橋 清志, 中村 善彦, 黒沢 隆, 其田 三夫
    1987 年 40 巻 10 号 p. 693-696
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    血清γ-GTP活性の診断的意義を評価するために, 各種疾患牛119頭について血清γ-GTP活性を測定した. γ-GTP活性の上昇は, 組織学的な肝病変に一致し, ダウナー牛にみられるような筋肉障害に影響されなかった. 脂肪肝において血清γ-GTPの反応は, GOT活性のそれに比べ緩慢であった. γ-GTP活性の上昇した症例 (113.9±158.7mU/ml) でのBSP排泄試験の半減時間は, 15分40秒±16分47秒と遅延していた.
    このことから, 血清γ-GTP活性の測定は牛の慢性肝障害の検査に有益であると考えられた.
  • 深瀬 徹, 梶原 富彦, 梶原 角光, 菅野 紘行, 茅根 士郎, 板垣 博
    1987 年 40 巻 10 号 p. 697-700
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1987年1月に愛媛県北条市内の愛玩犬のブリーダーの犬舎において, 下痢や血便, 食欲不振を主徴とする寄生蠕虫感染症の集団発生が認められた. 飼育犬25頭について糞便検査を実施したところ, 20頭 (80%) から蠕虫卵が検出された. 検出された虫卵の種類は, 鞭虫卵 (17頭, 68%), 回虫卵 (4頭, 16%), 鉤虫卵 (13頭, 52%) の3種で, それぞれ, 犬鞭虫, 犬回虫, 犬鉤虫のものと考えられた. この犬舎では土砂を敷いた運動場に犬を繋留していたため, これらの寄生虫が容易に伝播し, 重度の感染を引き起こしたことが推察された.
    蠕虫卵が検出された犬20頭に対して, フェバンテル10mg/kgを1日1回3日間連続経口投与した結果, 鞭虫寄生17例中16例, 回虫寄生4例中3例, 鉤虫寄生13例全例において, 完全な虫卵の陰転が認められた. また, 完全に陰転するまでにはいたらなかった鞭虫寄生1例と, 回虫寄生1例においても, 再度3日間同用量で投薬を繰り返すことにより, 虫卵はまったく検出されないようになった. 以上の成績から, フェバンテルは犬の消化管内寄生線虫に対する駆虫薬として, 臨床上十分に応用できるものと考えられた.
  • 神代 宏, 網本 昭輝
    1987 年 40 巻 10 号 p. 701-703
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    著者らは, 肉のミンチのみを食餌とした数ヵ月齢のミサゴの栄養性二次性上皮小体機能亢進症と思われる症例に遭遇した. 来院時, 患鳥は元気消失, 食欲廃絶, 起立不能, 両翼の下垂がみられた. 治療は食餌の内容に注意しながらグルコン酸カルシウムの静脈内注射, ビタミンAD3E, 複合ビタミン剤の皮下注射, 消化剤, ビタミン剤, カルシウム剤の経口投与を行った. その結果, 治療開始後約3週目から臨床症状の著明な改善がみられ, 3週目のレソトゲン写真で左右の上腕骨の病的骨折の回復像が認められた. その後, 経過は順調で, 8週目ではほぼ健康な状態にまで回復した.
  • 正木 宏幸, 藤本 義典, 村田 元秀
    1987 年 40 巻 10 号 p. 704-708
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    荒川における細菌汚染と発熱性物質, およびエンドトキシンについて次のような結果を得た.
    1) 発熱性物質試験およびリムルステストの観測結果を数量化することにより, これらの結果と, 他の細菌類や合成基質法・エンドトキシンについて得た結果とを, 数量的に比較検討することが可能となった.
    2) 水温, 細菌数, 発熱性物質, エンドトキシンは, 上流から下流に進むにしたがって次第に増加する傾向があり, 荒川全体を一つの母集団として取り扱うことが困難である.
    3) 荒川を採水地点によってクラスターわけすると, 次の数ブロックにわけることができる. すなわち, 大滝村 (1), 落合 (2), 秩父市 (3), 上流域; 皆野町 (4), 寄居町 (5), 中流域・上; 熊谷市 (6), 鴻巣市 (7), 上尾市 (8), 浦和市 (9), 中流域・下;戸田市 (10), 下流域の4流域, 6ブロックである.
    4) 中流域 (熊谷市 (6), 鴻巣市 (7), 上尾市 (8), 浦和市 (9)) での各項目間の相関係数から判断すれば, 発熱性物質およびエンドトキシンは, 環境要因である水温やpH値との関係はあまりなく, 人為的汚染の指標である細菌類とは密接な関係があるといえる.
  • 後藤 公吉, 本間 卓, 小林 保裕, 佐藤 博, 金子 正弘, 野村 靖夫
    1987 年 40 巻 10 号 p. 711-715
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    昭和52年度から60年度の間に, 新潟県食肉衛生検査所において, 豚82頭, 牛28頭の造血組織の悪性腫瘍を検出した. これらは, 酵素組織化学的染色によって豚8頭および牛2頭の骨髄性白血病, 牛1頭の単球性白血病, 豚1頭の悪性組織球症, 豚73頭および牛25頭のリンパ球性白血病に分類された.
    凍結切片を用いるペルオキシダーゼ, 非特異的エステラーゼおよび酸性フォスファターゼ染色は人におけると同様, と畜においても造血組織の腫瘍の鑑別に有用であった. 牛1例のリンパ球性白血病の細胞は塗抹標本の酸性フォスファターゼで陽性を示した.
  • 山下 秀之, 野田 雅博, 宮本 守人, 中西 英三, 千田 広文, 井田 孝司, 畠山 英夫
    1987 年 40 巻 10 号 p. 716-720
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1972年から1985年までの14年間にわたり, 広島県における牛異常産の発生とアカバネウイルスに対する中和抗体 以下, (単に抗体) の消長を調査し, 次の結果を得た.
    毎年4-7月にかけ採取したそれぞれ3, 162頭の血清について調べた抗体保有率は, 1972年, 1978年および1985年の各年に70%以上の上昇を示し, 約5-7年間隔の周期的変動がみられ, 抗体保有率の低下した年に異常産の発生が増加した.
    越夏後の抗体陽転率は, 1973年, 1 977年, 1979年, 1982年および1984年と約2-3年の間隔で周期的に50%以上の上昇を示した. また, 抗体陰性牛246頭について, 6月から11月まで月別に抗体陽転状況を追跡したところ, 127頭で抗体陽転が認められ, その内訳は8月1頭, 9月95頭, 10月26頭, 11月5頭であった.
    異常産母牛221頭の抗体保有率は86.4%を示し, 抗体陰性の異常産母牛が13.6%認められた.
    1977年に正常分娩した母牛9頭と, その産出子牛で初乳未摂取の9頭について, 抗体保有状況を調査した. 抗体保有母牛8頭から娩出された子牛8頭のうち3頭が抗体を保有していた. その他の子牛5頭は抗体陰性であった.
  • 菊地 正健, 富永 泰正, 大瀬戸 光明, 中田 誠, 大澤 哲也, 森川 政道, 石本 功一
    1987 年 40 巻 10 号 p. 721-725
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    IBRウイルス感染MDBK細胞をNonidet P-40で処理した陽性抗原と, 非感染MDBK細胞を同様に処理して得た陰性抗原を用い, 酵素免疫測定法 (EHSA) によるIBR抗体の検出法を検討した. その結果, 可検血清は非働化しない生血清を100倍希釈し, 酵素標識抗体は300倍希釈を用い, 陽性抗原によるOD値と陰性抗原によるOD値との差を可検血清のEHSAOD値とし, その値が0.200以上をELISA抗体陽性と判定した場合, ELISA抗体と中和抗体との間には強い相関関係 (r=0.90) が認められた. なお, ELISA法と中和抗体測定法との一致率は99.7%, 95%信頼限界PU=100, PL=99.2であった.また, 中和抗体価の低い血清については, 感度の高い中和抗体測定法である22℃1夜感作法による成績とよく一致した.
  • 岩村 英俊, 上原 修一, 豊満 義邦, 溝下 和則, 北野 良夫, 永徳 正裕, 長谷 学, 藤井 英太郎
    1987 年 40 巻 10 号 p. 726-730
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    鹿児島県下において, 昭和60年11月から昭和61年4月にかけて牛の異常産が多発した. 異常子牛は, 体形異常を示さず虚弱で哺乳不能を主徴とし, 剖検により大脳欠損および小脳形成不全が認められた. 初乳未摂取の異常子牛は, アカバネウイルスに対する中和抗体陰性であった.
    疫学, 病理学的および血清学的検査成績から, アカバネウィルス以外のウイルスを原因とする異常産と見なされた.
  • 秋本 浩志, 三上 祐二, 佐藤 一, 大沼 孝宣, 多田 圀一
    1987 年 40 巻 10 号 p. 735-738
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1984年7月下旬から9月上旬にかけて, 北海道根室市の約9万頭飼育のミンク農場で, その年に生産されたミンクに, 呼吸困難, 口腔や鼻腔からの出血を主徴とする疾病が発生し, 15, 117頭が死亡した. それらミンクの剖検所見では肺に著しい出血病変が認められ, 各臓器からのPseudomonasaeruginosa(以下, P.aeruginosaと略) の分離と併せて, ミンクの出血性肺炎と診断し発生要因調査と対策を行った.
    1) 発生要因調査: 飼育場のP.aeruginosa汚染状況調査では, 飼料原料等から本菌が分離された. 発生年の気候条件は, 同地方の平年の気温, 降水量と比較し高温多湿であり, 同飼育場では糞便の除去や消毒, 換気が不徹底であったことが指摘された.
    2) 対策: 分離株に有効な, ハロゲン系消毒薬による消毒の徹底と, 衛生管理の見直し, P.aeruginosaの共通抗原を含むワクチンの早期接種を指導し, 翌年からの発生が防止された.
  • 蛭間 正己, 井出 誠弥, 桑島 規行
    1987 年 40 巻 10 号 p. 739-741
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    眼球突出を呈した9才, 雄の犬から外科的に摘出した眼窩内の腫瘤を病理学的に観察した. 肉眼的に腫瘤は灰白色, 鶏卵大で出血と壊死を伴っていた. 組織的には好酸球性肉芽腫性反応を示す像が観察され, 好酸球を主体とした炎症性細胞の浸潤, 線維芽細胞の増殖, ミクロフィラリア, 壊死巣, 虫体によると思われる隧道の形成, 血管変性がみられた. これらの所見により眼窩内の腫瘤は寄生虫性肉芽腫と診断された. また, 結膜についても若干の所見を加えた.
  • 岩松 茂, 福田 輝俊, 永野 博明, 渡辺 方親, 宮本 修治
    1987 年 40 巻 10 号 p. 743-746
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1986年5月, 長崎県下の一養豚場において, 呼吸器症状を呈し死亡した64日齢の子豚1頭を病理学的および細菌学的に調査し, 下記の結果を得た.
    おもな病変は, 右肺中葉の肝変化と同部位および腎臓における粟粒大結節の多発であり, 病理組織学的には心臓, 肺, 肝臓, 脾臓および腎臓に膿瘍形成, ならびに化膿性髄膜脳炎が認められた. 細菌検査により, 心臓, 肺, 肝臓, 脾臓, 腎臓および脳からHaemophiluspleuropneumoniae (血清型: 2) が分離された.
    本症例は, H.pleuropneumoniaeにより全身性に膿瘍形成および化膿性髄膜脳炎を呈した敗血症と診断され, きわめてまれな症例と考えられた.
  • 1987 年 40 巻 10 号 p. 751-757
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 40 巻 10 号 p. 763
    発行日: 1987年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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