荒川における細菌汚染と発熱性物質, およびエンドトキシンについて次のような結果を得た.
1) 発熱性物質試験およびリムルステストの観測結果を数量化することにより, これらの結果と, 他の細菌類や合成基質法・エンドトキシンについて得た結果とを, 数量的に比較検討することが可能となった.
2) 水温, 細菌数, 発熱性物質, エンドトキシンは, 上流から下流に進むにしたがって次第に増加する傾向があり, 荒川全体を一つの母集団として取り扱うことが困難である.
3) 荒川を採水地点によってクラスターわけすると, 次の数ブロックにわけることができる. すなわち, 大滝村 (1), 落合 (2), 秩父市 (3), 上流域; 皆野町 (4), 寄居町 (5), 中流域・上; 熊谷市 (6), 鴻巣市 (7), 上尾市 (8), 浦和市 (9), 中流域・下;戸田市 (10), 下流域の4流域, 6ブロックである.
4) 中流域 (熊谷市 (6), 鴻巣市 (7), 上尾市 (8), 浦和市 (9)) での各項目間の相関係数から判断すれば, 発熱性物質およびエンドトキシンは, 環境要因である水温やpH値との関係はあまりなく, 人為的汚染の指標である細菌類とは密接な関係があるといえる.
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