豚パルボウイルス (PPV) 感染症の生ワクチン用に開発した弱毒HT-/SK株を用いて, 豚死産予防の野外試験を実施した.試験対象豚として180頭の未経産豚を使用し, ワクチン接種群 (V群) 121頭と非接種群 (N群) 59頭にわけた.試験豚はワクチン接種の前後2ヵ月以内に種付けを行った.成績は試験期間中にPPVの流行に遭遇した農家 (流行試験群) 15戸の豚と, 流行のみられなかった農家 (非流行試験群) 10戸の豚とに区分し, それぞれの臨床観察結果, PPV血球凝集抑制 (HI) 抗体価の推移および分娩成績から, 本試作生ワクチンの安全性と有効性を解析した.
非流行試験群におけるV群25頭のワクチン接種後のHI抗体陽性率 (10倍以上を陽性) は, 接種1ヵ月後で88%, 分娩後90.9%6を示し, 平均HI抗体価 (GM) は接種1ヵ月後32.9倍, 分娩後56.6倍であった.流行試験群におけるV群96頭の抗体陽性率は接種1ヵ月後で87.4%, 分娩後では95.1%であり, GMは接種1ヵ月後93.9倍, 分娩後137.2倍であり, 流行後においても抗体価の変動はきわめてわずかであった.いっぽう, N群では流行後, 著しい抗体価の上昇がみられ, 自然感染による分娩後の抗体陽性率は78%, GMは513.9倍を示した.
分娩成績, すなわち, 1腹平均の正常子数と異常子数および異常発生率を調べた結果, 非流行試験群では妊娠中にワクチンを接種された試験豚はいずれも正常分娩で異常子の娩出はまったくみられず, HT-/SK株の妊娠豚に対する安全性が確認された.流行試験群では, V群の分娩成績はN群に比べて, 1腹平均の正常子数は1.5-1.9頭多く, 1腹平均の異常子数は0.9-1.0頭少なかった.また, 異常発生率を比較したところ, V群の母豚からみた発生率はN群よりも20.6-22.9%低く, また産子からみた発生率の差でも10.2-11.7%低かった.このことから, V群の分娩成績はN群よりも明らかに良好で, RT-/SK株の死産予防効果が確認された.
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