肉牛のセレニウム (Se) とトコフエロール (Toc) の動態を明らかにする目的で, 北海道の21牛舎を対象に, 舎飼初期 (1985年11月) と舎飼末期 (1986年5月) の雌牛 (3~7歳) の血液と飼料, および草地の土壌を検査した.
血清Se濃度と血液グルタチオンペルオキシダービ (GSH-Px) 活性は, 含飼初期に全牛舎, 舎飼未期に71.4%の牛舎で欠乏値 (血清Se 35PPb以下, 血液GSH-Px活性値30酵素単位以下) を示した.
乾草のSe含量では, 舎飼初期と舎育未期の59.5%(25/42点) が0.05PPm以下であり, 他の粗飼料 (グラスサイレージ, コーンサイレージ, ヘイレージ, 稲ワラ, 麦ワラ) では50%(10/20点) が0.05ppm以下であった.
草地の土壌では水溶性Se含量が減少 (0.1ppm以下) し, 牧草のSeも低値であった.
乾草のα-Toc含量では, 舎飼未期に72.2%(13/18点) が3mg/100g以下の低値であり, 他の粗飼料と濃厚飼料もまた低含量であった.
供試牛の血清Tocの平均値では23.8%(5/21牛舎) が200μg/100ml以下の低値を示した.
以上のように, 粗飼料主体の北海道の肉牛飼育では, 年間を通して牛の血清Seの低値と, 特に舎飼未期における血清Tocの低値が認められた.
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