日本獣医師会雑誌
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41 巻, 8 号
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  • 鎌田 寛, 箭内 誉志徳, 今泉 一生, 福田 陽一, 村杉 栄治
    1988 年 41 巻 8 号 p. 549-554
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    口腔内に臨床的な疾患のない犬, 雄30例, 雌20例から選択培地により, 1科と8属の細菌の分離を試みた.供試犬50例からの検出率は, Staphylococcus 80%, Streptococcus 74%, Fusobacterium 66%, Bacteroides 40%, Enterobacteriaceae (Escherichia, Proteus, Klebsiellaの3属) 36%, Veillonella 26%, Lactobacillus 22%, Candida 14%, Pasteurella 10%であった.球菌は45例, 偏性嫌気性菌は37例から検出され, 47例でこれらのいずれかを認めた.Pasteurellaは, 米谷26 らの報告とほぼ同様の検出率であった.Enterobacteriaceae (Ent.) 検出例では, 球菌属の検出率が低く (83.3%: Ent.非検出例では93.8%), 偏性嫌気性菌属の検出率が高い (83.3%: Ent.非検出例では68.8%) 傾向が認められ, また, 全分離株 (Candida以外: 240株) の抗生物質に対する感受性比率は, クロラムフェニコール (90.8%) で最も高く, 系統別では, ペニシリン・セファロスポリン系薬剤に感受性を多数 (85.3%) 認めた.Ent.の感受性比率は, 平均28.7%で, ナリジクス酸に感受性株 (75.0%) が最も多く認められた.
  • 岡田 雪男, 多久和 正, 原 文男, 白石 忠昭, 藤田 忍, 金山 保夫, 森脇 稔幸, 安達 浩治
    1988 年 41 巻 8 号 p. 555-560
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    脂肪壊死症と診断された黒毛和種種雄牛 (3~12歳) 9頭に, 大豆油抽出時の副産物 (ソイステロール) を日量7.5~309給与して, 20ヵ月間臨床的に観察した.
    直腸検査の結果, 直腸および腎臓周囲の壊死塊には1~2ヵ月後に軟化が, 4~6ヵ月後に縮小が, 6~10ヵ月後に消失が観察されたが, 結腸周囲の壊死塊には, 軟化, 縮小が観察されるものの, 20ヵ月後でも消失しなかった.
    血便, 食欲不振などの臨床症状を呈した3例には, ソイステロール給与による改善効果は乏しく, いずれも廃用にされた.
    給与前と給与後 (10ヵ月目) の血液臨床生化学的所見では, GOT, γ-GTPおよび無機P (iP) 値の低下とMg値の増加が認められた.
  • 大沼 裕, 溝井 茂, 石山 敏郎, 本間 洲二
    1988 年 41 巻 8 号 p. 561-564
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1984年後期から1986年前期の間に, 北海道十勝地方の乳用雄牛肥育農場で, 子牛のSalmonella typhimurium感染症が34件発症した.これらの農場から分離されたS. typhimurium 36株をプラスミドプロフィールにより型別した.その結果, A型 (20株), B型 (10株), C型 (3株), D型 (1株) および型別不能 (2株) にわけられた.疫学的検討の結果, 1984年後期に発生した9農場のうち6農場ではB型株感染であったが, 1985年後期に発生した11農場のうち9農場ではA型株感染であり, 地域における流行株の交代がみられた.また, S. typhimuriumは子牛の導入に伴って農場に侵入する可能性の高いことが示唆された.
  • 一条 茂, 納 敏, 竹田 孝夫
    1988 年 41 巻 8 号 p. 565-570
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肉牛のセレニウム (Se) とトコフエロール (Toc) の動態を明らかにする目的で, 北海道の21牛舎を対象に, 舎飼初期 (1985年11月) と舎飼末期 (1986年5月) の雌牛 (3~7歳) の血液と飼料, および草地の土壌を検査した.
    血清Se濃度と血液グルタチオンペルオキシダービ (GSH-Px) 活性は, 含飼初期に全牛舎, 舎飼未期に71.4%の牛舎で欠乏値 (血清Se 35PPb以下, 血液GSH-Px活性値30酵素単位以下) を示した.
    乾草のSe含量では, 舎飼初期と舎育未期の59.5%(25/42点) が0.05PPm以下であり, 他の粗飼料 (グラスサイレージ, コーンサイレージ, ヘイレージ, 稲ワラ, 麦ワラ) では50%(10/20点) が0.05ppm以下であった.
    草地の土壌では水溶性Se含量が減少 (0.1ppm以下) し, 牧草のSeも低値であった.
    乾草のα-Toc含量では, 舎飼未期に72.2%(13/18点) が3mg/100g以下の低値であり, 他の粗飼料と濃厚飼料もまた低含量であった.
    供試牛の血清Tocの平均値では23.8%(5/21牛舎) が200μg/100ml以下の低値を示した.
    以上のように, 粗飼料主体の北海道の肉牛飼育では, 年間を通して牛の血清Seの低値と, 特に舎飼未期における血清Tocの低値が認められた.
  • 相見 和宏, 本好 茂一, 池本 卯典
    1988 年 41 巻 8 号 p. 575-578
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Feijao chwnbinhoの種子中に含有されるFc凝集素活性は, 主として胚乳中に含まれていた.その凝集素をethanol沈殿法およびSephadexを用いたゲル濾過法などによって精製し, SDS-polyacry-Iamide gel electrophoresisを用いて推定した分子量は約160,000であった.
    また, 免疫電気泳動法においてはヒトのIgGに相似した領域に沈降線を形成した.なお, Fc凝集素の活性はL-ribose, D-glucose, D-mannoseなどの糖で阻害された.
  • 大根田 智, 木村 良男, 佐藤 満雄, 斉藤 光男, 井上 徹
    1988 年 41 巻 8 号 p. 579-582
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    2週齢の哺育牛の背部を中心に体表各所に紫斑形成・出血が多発したため, 鑑定殺された.皮膚には針尖大の出血を中心に紫斑が形成され, 内部諸臓器にも, 漿膜面を中心に出血斑が汎発していた.血液検査では, 血餅の退縮不全と, 塗抹像での血小板数の減少が顕著にみられた.病理組織学的には, 出血は皮下織, 消化管粘膜下織から漿膜面におよび, 骨髄では巨核球の軽度の増数を認めたが, 遊離の血小板はほとんど認められなかった.
    発症牛の血漿を健康牛からの血球浮遊液と混合した場合, あるいは発症牛の血清をウサギに静脈内注射した場合には, いずれにおいても遊離血小板数の減少が見られた.とくに, 前者では血小板の凝集が認められ, 血漿中に血小板凝集因子の存在が示唆された.
    以上の所見から, 本症例は血小板減少性紫斑病と診断された.
  • 桐原 陽子, 米田 潤一, 吉田 幸雄, 北 満夫, 久保 圭毅
    1988 年 41 巻 8 号 p. 583-586
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    3週間にわたり発熱, 心内雑音などの症状を呈した乳用牛の病性鑑定を実施したところ, 心臓の右房室弁に鶏卵大のカリフラワー状疣贅の形成を認め, この疣状物からCardiobacterium hominisが純枠に分離されたので, 当該菌による疣贅性心内膜炎と診断した.本症例は, C. hominisによる牛の疣贅性心内膜炎の最初の報告と思われる.
  • 渡 昭博, 井上 ますお, 斉田 清, 栗原 貯, 野村 靖夫
    1988 年 41 巻 8 号 p. 587-589
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    心膜にのみ顕著な病変のみられたリンパ肉腫の1例を病理学的に検索した.症例は雑種5歳 (体重約200kg) の雌豚で, 心臓は全体的に直径1~3cm, 厚さ1~2cmの半球状~ 円盤状黄白色の腫瘍組織に覆われていた.組織学的に, 腫瘍は円形ないし類円形の中型核を有し, 狭い細胞質を持つリンパ球様の細胞よりなり, 一層の中皮細胞によって覆われていた.右側冠状溝部にそって腫瘍細胞の心筋内への浸潤が認められた.
  • 吉永 直哉, 江永 直樹, 市丸 浩昭, 村岡 豊一郎, 下平 秀丸, 打越 律男, 吉武 一郎, 南川 禮次
    1988 年 41 巻 8 号 p. 590-593
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1986年9月, 佐賀県下の1繁殖養豚場で, 離乳後間もない子豚3頭 (33日齢) が, 水様性下痢症状を呈し, 急性経過で2頭が死亡, 1頭が瀕死の状態になった.
    そこで, 死亡例1頭と重症例1頭について検査を実施したところ, 病理学的検査において, 直径1.5~5μmの円形あるいは楕円形で, PAS陽性の原虫を盲腸および結腸の陰窩上皮細胞表層に多数認めた.また, 結腸の電子顕微鏡観察では, 各種発育段階にある虫体が確認され, これらの付着している腸管の微絨毛は消失していた.このように, 微絨毛内寄生を特徴とする原虫は, これまでに報告されているCryptosporidium (CR) の所見と一致していた.
    しかしながら, 当症例は, CR寄生の認められなかった小腸のカタール性炎や, 重症例の中枢神経組織における広範な脱髄性病変, さらには同腹豚のOPG検査所見等から, CR単独感染とは考えられず, 他にもなんらかの要因があるものと推察された.
  • 小林 晴男, 湯山 章
    1988 年 41 巻 8 号 p. 594-597
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 田中 良男
    1988 年 41 巻 8 号 p. 603-606
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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