日本獣医師会雑誌
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42 巻, 12 号
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  • 福島 博, 丸山 務, 金子 賢一, 井上 正直
    1989 年 42 巻 12 号 p. 829-840
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 小沢 みどり, 宮澤 清志, 大崎 和栄, 佐藤 邦忠, 久保 田学
    1989 年 42 巻 12 号 p. 843-848
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    臨床的に異常の認められないホルスタイン種乳牛3頭の9分房に, セフロキシム500mgを1日1回3日間連続注入し, 乳汁中のセフロキシム濃度の変化を観察した. つぎに, 乳房炎に罹患しているホルスタイン種乳牛18頭の27分房に, セフロキシム250mgを1日1回3日間連続注入した. 臨床症状の観察, PLTによる乳汁検査, 細胞数の測定および細菌検査を行い, 次の結果を得た.
    1. 注入後の乳汁中セフロキシム濃度は時間の経過とともに減少し, 72時間以降残留はみられなかった.
    2.92.6%(25例/27例) の臨床型乳房炎に対して効果がみられた.
    3. 注入前の分離菌種の内訳は, Staphylococcus属12例, Streptococcus属4例, Enterococcus属3例, E. coli3例, その他のグラム陰性桿菌2例, Bacilius属3例であった. 最終注入後はCoagulase negative staphylococcus (CNS) が2例に, Enterococcus faecium, E. coliならびにKlebsiella oxytoca が各々1例に残存し, 他の分離菌はすべて消失した.
    4. セフロキシムに対する耐性菌が, Enterococcus属が検出された1例に出現した.
    以上の成績から, セフロキシムは乳房炎治療薬として有効であることが認められた.
  • 内藤 善久, 高橋 雅春, 佐藤 れえ子, 金田 義宏, 村上 大蔵
    1989 年 42 巻 12 号 p. 849-853
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    乳牛の分娩時の低Ca血症に対するla-hydroxyvitamin D3 (lα (OH) D3) の予防効果を明らかにする目的でホルスタイン種経産牛10頭を用いて, 5頭には分娩前6時間から8日の間にエタノール3mlに溶解したlα (OH) D3500μgを, また残りの5頭には対照群としてエタノール3mlのみをそれぞれ筋肉注射した. これらの供試牛について分娩前10日から分娩後7日まで血漿の1, 25 (OH) 2D, Ca, Pi, Mgおよび4-ヒドロオキシプロリン (Hyp) 濃度を測定した. その結果, 分娩前6時間から2日の間にla (OH) D3を投与された3頭 (No.3, 4, 5) における血漿1, 25 (OH) 2D濃度は, 分娩時に明瞭に上昇し, それにともなって分娩後の血漿CaとPi濃度の低下は抑制された. しかし, 分娩前7日および8日に投与された2頭 (No.1, 2) の血漿1, 25 (OH) 2D濃度は, 分娩時から分娩後にかけて上昇せず, 血漿のCaおよびPi濃度は, いずれも分娩後に低下した. また, 各投与牛の血漿Hyp濃度は, 対象群のそれとよく一致して分娩後に上昇した. 以上のことから, 分娩後の低Ca血症を防ぐためのlα (OH) D3の投与時期は分娩前2日前後が最も効果的と考えられた.
  • 山田 稲生, 高橋 秀之, 大石 浩之
    1989 年 42 巻 12 号 p. 855-858
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    豚の鼻保定による採血行為が血液成分にどのような影響を与えるかについて検討を行った. 6頭の子豚を用い, 実験の7日前に採血用頸静脈留置カテーテルを外科的に装着した. 5分間の鼻保定を行い, さらにその間に注射針を頸静脈洞部位に数度にわたり穿刺して, 保定開始後120分まで経時的に採血を留置カテーテルより行った. 対照実験として同様の6頭の子豚を用い, 保定実験の前日に保定行為なしで同様の時刻での採血を留置カテーテルより行った. 保定実験では, 赤血球数, HtおよびHbが保定開始後5~10分で有意の増加が認められた. 総白血球数は, 保定開始後5分時と60分時をピークとする二峰性の増加を示した. 血漿コルチゾール値, および血漿グルコース値も保定実験開始後, 有意の上昇が認められた. 以上, 鼻保定採血行為が豚に対して大きなストレッサーになり得ることが示唆され, これらの値の変化は, 血液診断にあたり十分に考慮する必要がある.
  • 森田 恭弘, 吉岡 豊, 藤井 規男
    1989 年 42 巻 12 号 p. 861-865
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    豚の膿瘍から分離したActinomyces pyogenesを変法VL液体培地で培養し, その上清からプロテアーゼ抗原を精製し, 参照抗血清を用いて間接ELISA法の反応条件を検討した.
    野外の豚血清を用いてELISA法とAGP法を比較した結果, 32例のAGP陽性豚群血清の吸光度は0.528±0.079, いっぽう, 219例のAGP陰性豚群血清の吸光度は0.231±0.067で, AGP陽性豚群は有意 (P<0.001) に高い吸光度を示した.
    すなわち, A-pyogenes感染豚のELISA比は非感染豚の1.81であり, しかも, ELISA法による成績はAGP法による成績とよく一致した.
  • 平原 正, 安原 寿雄, 松井 修, 出水田 昭弘, 吉木 研一, 福山 新一, 児玉 和夫, 中井 正久, 佐々木 文存
    1989 年 42 巻 12 号 p. 867-870
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1978年から1988年の11年間に, 日本各地の豚群から無作為的に採集した4, 846例の豚血清について豚血球凝集性脳脊髄炎 (PHE) ウイルスNPTr32株に対する血球凝集抑制 (HI) 抗体を測定した. その結果, 月齢別にみた抗体陽性率は, 1カ月齢では57.7%のものが2カ月齢には36.2%へ低下し, 3カ月齢には59.7%へ再び上昇し, 5カ月齢には84.1%の最高値に達した. また, 繁殖母豚の抗体陽性率は68.2%であった. 年席別にみた抗体陽性率は50.0%~88.3%の範囲にあったが, 1978年から1980年はいくぶん低く50.0%~70, 0%で, 1981年から1984年は割合に高く76.3%~88.3%を示し, 平均HI抗体価は抗体陽性率の高低に伴って変動した. さらに地域別にみた抗体陽性率は, 全地域で50%以上の抗体陽性率を示し, 地域による陽性率に極端な差はみられなかった.
    以上の成績は, 本病が広く浸潤していることを示している. また, PHEウイルスの感染は, 最も感受性の高い哺乳期から1カ月齢までは母豚からの移行抗体により防御されていると考えられた. しかし, 移行抗体が消失する時期に多くの豚がPHEウイルスに感染することが明らかとなり, この時期の肥育豚への悪影響が懸念された.
  • 野田 雅博, 三浦 潔, 山中 敬三, 稲葉 右二
    1989 年 42 巻 12 号 p. 871-875
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ラブドウイルス科に属するウイルスで, ウシヌカカおよびコガタアカイエカから分離されたフクオカ-11株, および牛血液から分離された62-48-21株, 61-38-18株, 62-102-3株, 63-35-2株の計5株のフクオカウイルスについて, 赤血球凝集素 (HAin) の存在を検討した. その結果, 5株のウイルスの感染細胞培養液はいずれもガチョウ, 鶏, モルモット, マウス, 馬およびヒツジ赤血球を4, 22および37℃ で凝集した. 赤血球凝集 (HA) 反応はpH依存性を示し, 抗原希釈液として0.4%牛血清アルブミン加ホウ酸緩衝食塩液 (pH9.0), および赤血球希釈液としてリン酸緩衝食塩液を用いた場合, pH5.4~5.8で最高のHA価が得られた. また, この反応は塩濃度に影響されなかった. HA反応は免疫血清により特異的に抑制された. 野外牛血清の赤血球凝集抑制抗体および中和抗体は相関係数γ=0.967で, 強い相関関係を示した.
  • 野田 雅博, 山下 秀之, 佐藤 多津雄, 三浦 潔, 山中 敬三, 稲葉 右二
    1989 年 42 巻 12 号 p. 877-882
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    クロロフェノール系1種, オルソジクロールベンゼン・クレゾール系1種, 塩素系2種およびアルデヒド系4種の計8種の消毒薬を用いて, 木綿包帯, 鶏卵殻およびポプラ木片に付着させたウイルスに対する殺ウイルス効果を検討した. 使用したウイルス株はDNAウイルスの牛ヘルペスウイルス1型, ワクシニアウイルス (VV) および犬アデノウイルスの3種, RNAウイルスの鶏ニューカッスル病ウイルス (NDV), 牛エンテロウイルスおよび牛ロタウイルスの3種の計6株を用いた. 木綿包帯に付着したエンベロープを有するDNAおよびRNAウイルスに対しては使用したすべての消毒薬の有効性が認められた. また, エンベロープを欠くDNAおよびRNAウイルスに対しては塩素系およびアルデヒド系消毒薬の有効性が認められた. 鶏卵殻に付着したエンベロープを有するDNAおよびRNAウイルスに対しては使用したすべての消毒薬の有効性が認められた. ポプラ木片に付着したエンベロープを有するDNAウイルスのVVおよびRNAウイルスのNDVに対しては, 塩素系およびアルデヒド系消毒薬に有効性を認め, エンベロープを欠くDNAウイルスに対して, アルデヒド系消毒薬に有効性を認めた.
    次に, 殺ウイルス効果の持続性を検討した. すなわち, 逆性石けん系1種, クロロフェノール系1種, オルソジクロールベンゼン・クレゾール系1種, および塩素系2種の計5種の消毒薬の薬液調整後, NDVおよび鶏アデノウイルス (FAV) を用いて試験を行った.
    その結果, オルソジクロールベンゼン・クレゾール系および塩素系消毒薬ではNDVに対して2~4日間, ほかの消毒薬は2日間殺ウイルス効果が持した. また, 有機物 (鶏糞) 存在下ではオルソジクロールベンゼン・クレゾール系および塩素系消毒薬の殺ウイルス効果は安定していたが, 逆性石けん系消毒薬は有機物存在の影響を強く受け, 無効であった. さらにFAVに対しては, 塩素系消毒薬では2~4日間, 殺ウイルス効果が持続した.
  • 荻野 博明, 渡辺 大成, 中林 大, 鍋谷 政広, 村山 仁一, 石川 正男
    1989 年 42 巻 12 号 p. 885-888
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1989年1月, 新潟県の肉用牛肥育農家で, 北海道から導入した12ヵ月齢の肥育素牛1頭が突然, 食欲廃絶, 発熱, 四肢伸張, けいれん等の症状を呈し, 加療したが予後不良と判断され鑑定殺された. 剖検により, 大脳は水腫性で背面が全体に黄白色を呈し, 皮質域に黄色病変が散見された. 大脳断面を紫外線下で観察したところ, 皮質域の黄色部とほぼ一致し蛍光が認められた. 組織学的には, 皮質域に神経細胞の乏血性変化, 壊死した神経細胞周囲および血管周囲腔の拡張, 空胞形成, マクロファージの顕著な浸潤, 血管壁の水腫, グリア細胞の増殖が認められた. 脳の総チアミン濃度は0.24μg/g湿重量で, 明らかに低い値を示し, 心臓および肝臓の総チアミン濃度も低値を示した. 同居牛10頭の血中総チアミン濃度と赤血球ケトラーゼ活性値には異常は認められなかった. 以上のことから本症例は大脳皮質壊死症と診断され, チアミン欠乏により発症したものと推察された.
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