若齢豚における蹄疾患の病態を検索する目的で, と場に搬入された若齢豚 (9ヵ月齢未満のLWD) 350頭1, 400肢端のうち, 肉眼的に明らかな外部異常所見が認められた83肢について軟および硬X線撮影を行い, 蹄における骨・関節部の性状を観察した.
外部異常所見は, 外傷性蹄疾患として主蹄におけるFive common lesions (蹄球糜燗, 蹄底糜燗, 蹄壁糜燗, 白帯裂および蹄壁裂) 28肢, 蹄冠炎3肢および副蹄脱落5肢, 非外傷性蹄疾患として主蹄における不等蹄32肢, 球節腫脹5肢, 過長蹄2肢および蹄冠腫脹9肢, 副蹄における蹄冠腫脹2肢, 多指症2肢が認められた.
軟・硬X線撮影所見においてはFive common lesionsおよび球節腫脹肢はいずれも骨・関節の異常像は観察されず, これらの外傷性変化は臨床的には問題の少ない病変であることが推察された. しかし, 不等蹄18肢, 副蹄蹄冠腫脹2肢および多指症2肢の合計22肢はいずれも先天性異常像 (骨形成不全, 骨端軟骨未成熟閉鎖あるいは多指像) が観察され, 若齢豚においては奇形に基づく蹄疾患が多く存在することが明らかにされた. また, 主蹄の蹄冠炎・蹄冠腫脹, 過長蹄および副蹄の脱落が認められた14肢中13肢に蹄の骨増生像, 崩壊像あるいは関節の癒合像等重度の異常が観察された.
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