日本獣医師会雑誌
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43 巻, 10 号
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  • 植松 和史, 野田 雅博, 椎木 尭, 望戸 正則, 渡辺 史郎, 三浦 潔, 阿川 啓雄, 山中 敬三
    1990 年 43 巻 10 号 p. 713-718
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    水様性あるいは粘稠性下痢が発生した3酪農家, 1肥育農家の23頭の下痢便を検査した. その結果, 4戸7頭から糞便1g当たり103から105cfuのCampylobacter fetus subsp. fetus (C.f.fetus) を分離した. 毒素原生大腸菌, サルモネラおよびClostridium perfringmsは分離されなかった. このうち3酪農家については発症牛の対血清を採取し, 分離株に対する血清凝集抗体価を測定した. その結果, 2戸では抗体価の有意な上昇が認められる個体もあった. 2戸の酪農家の発症牛には牛コロナウイルスの同時感染が認められた. また, 肥育農家の発症牛からはC.f.fetusのほかC.jejuniおよびC.coliも分離された. いっぽう, 管内の酪農家12戸の健康牛計50頭について直腸便からカンピロバクターの分離を試みたが, これらの牛からはC.f.fetusは分離されなかった.
  • 布施 勝利, 清水 高正, 菊一 三四二, 中礼 敏彦
    1990 年 43 巻 10 号 p. 719-722
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1989年2月から6月までの期間, 臨床型乳房炎乳汁のうち細菌の発育が認められなかった乳汁について, マイコプラズマの分離培養を行った.その結果, 74分房中同一牛の2分房からMycoplasma bovisが純粋に分離された.M.bovisが分離されたT牧場の全搾乳牛 (29頭) についてCMT変法による乳汁検査を行い, PLT陽性を示した13分房の乳汁についてマイコプラズマの分離培養を行った.その結果13検体中1検体からM.bovisが純粋に分離された. M.bovisが分離された2例の臨床症状は比較的軽度であった.この2例には肺炎, 関節炎の病歴はなかった.また, この2例の乳房炎発病時期は1988年度のT牧場におけるバルク乳の体細胞数および乳房炎発生の増加時期と一致した.
  • 鈴木 實, 七條 喜一郎, 竹内 崇, 斎藤 俊之, 梅村 孝司, 島田 章則
    1990 年 43 巻 10 号 p. 723-727
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    中枢神経系の異常が疑われた黒毛和種子牛3頭 (2-73日齢) について脳波測定を行い, 経日的に記録した正常子牛 (1-63日齢) の脳波と比較検討した.
    3頭の子牛は病理解剖の結果から水頭無脳症 (2例), 左側大脳半球欠損症 (1例) と診断され, 各疾患と脳波測定時に出現した異常波形との関連について検討した.
    その結果, 水頭無脳症では波形の平担化あるいは振幅の著しい低下が認められた. 単極の全導出ではほぼ同一の波形が出現し, 本症におけるEEGパターンの特徴であると考えられた. 左側大脳半球欠損症では, 欠損部に相当する部位に置かれた電極の関与する双極導出において著しい振幅の低下がみられた.
    これらの異常波形は, 大脳の重度な機能障害を示唆する所見と考えられ, 脳波検査によってその機能低下をある程度把握することが可能であると思われる. したがって, 脳波測定は水頭無脳症あるいは大脳半球欠損症子牛においての診断補助として有効であることが示唆された.
  • 山田 明夫, 石川 俊幸, 阿部 紀次, 宮原 和郎, 佐藤 基佳, 亀谷 勉, 広瀬 恒夫
    1990 年 43 巻 10 号 p. 728-733
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    若齢豚における蹄疾患の病態を検索する目的で, と場に搬入された若齢豚 (9ヵ月齢未満のLWD) 350頭1, 400肢端のうち, 肉眼的に明らかな外部異常所見が認められた83肢について軟および硬X線撮影を行い, 蹄における骨・関節部の性状を観察した.
    外部異常所見は, 外傷性蹄疾患として主蹄におけるFive common lesions (蹄球糜燗, 蹄底糜燗, 蹄壁糜燗, 白帯裂および蹄壁裂) 28肢, 蹄冠炎3肢および副蹄脱落5肢, 非外傷性蹄疾患として主蹄における不等蹄32肢, 球節腫脹5肢, 過長蹄2肢および蹄冠腫脹9肢, 副蹄における蹄冠腫脹2肢, 多指症2肢が認められた.
    軟・硬X線撮影所見においてはFive common lesionsおよび球節腫脹肢はいずれも骨・関節の異常像は観察されず, これらの外傷性変化は臨床的には問題の少ない病変であることが推察された. しかし, 不等蹄18肢, 副蹄蹄冠腫脹2肢および多指症2肢の合計22肢はいずれも先天性異常像 (骨形成不全, 骨端軟骨未成熟閉鎖あるいは多指像) が観察され, 若齢豚においては奇形に基づく蹄疾患が多く存在することが明らかにされた. また, 主蹄の蹄冠炎・蹄冠腫脹, 過長蹄および副蹄の脱落が認められた14肢中13肢に蹄の骨増生像, 崩壊像あるいは関節の癒合像等重度の異常が観察された.
  • 富永 敬一郎, 福島 護之, 泰谷 豊
    1990 年 43 巻 10 号 p. 734-739
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1986年4月-1989年3月までの3年間に兵庫県内の3地域で22名の技術者が移植現場で凍結胚を融解後, ストロー内でSucrose溶液と培養液で段階的にグリセリンを希釈し, ストローの外に取り出すことなく胚を移植した. その結果, 3年間の通算受胎率はA地域で55.3%(26/47), B地域で34.4%(22/64), C地域で353%(12/34) であった.しかし, 3地域を合計した成績では各年度とも40%以上の受胎率であった.なお, 1人当たり10頭以上移植した技術者の比率はA地域で66.7%(2/3), B地域で182%(2/11), C地域で12.5%(1/8) となり, 熟練した技術者の移植比率が高いA地域の受胎率が他の地域に比べて高かった.
    また, 凍結融解胚のグリセリン希釈液として利用するSucrose液の調整にあたり, Sucrose溶解液 (塩類溶液) の浸透圧を等張培養液に比べて2/3に相当する低張液から等張へ高めることによって受胎率の低い地域で受胎率が高くなり, 胚の発育性をみた培養試験でも凍結胚の障害が改善される傾向がみられた.
    このストロー内2段階グリセリン希釈直接移植法は庭先融解が可能であり, 融解移植操作を確実に実施することによって高い受胎率が得られる見通しがつき, 牛凍結胚移植の広範な普及に役立つ方法であることが示された.
  • 渡邉 隆之, 佐藤 久聡, 小林 栄樹, 山岸 郭郎, 斉藤 博
    1990 年 43 巻 10 号 p. 743-747
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    豚丹毒の抗体検出法には生菌発育凝集反応 (GA) が行われるが, 判定に時間を要する. そこで, 抗体の検出法としてEnzyme4inked immunosorbent assay (ELISA) に着目した. 本実験では県株 (血清型: 5) を用いて, 超音波処理菌体抗原, ホモジナイズ菌体抗原, 加熱抽出抗原, SDS可溶化抗原, SDC可溶化抗原, Triton X-100可溶化抗原, NP-40可溶化抗原, アルカリ抽出抗原, EDTA処理菌体抗原, TCA処理菌体抗原, 尿素処理菌体抗原およびペプチドグリカン抗原を作製した. 高い反応特異性がみられた3種の抗原を用い陽性限界値を求めた結果, 超音波処理菌体抗原では0.419, EDTA処理菌体抗原では0.337, アルカリ抽出抗原では0.693となった. アルカリ抽出抗原を除いた2種の抗原を用いたELISA抗体価と生菌発育凝集素価の間には相関が認められた. 抗原量および高い反応性等から考察すると, 超音波処理菌体抗原が優れていることが示唆された.
  • 戸嶋 貴伸, 井上 昌生, 田口 外代雄, 原口 寅雄
    1990 年 43 巻 10 号 p. 748-750
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    発生が稀である牛の小腸原発の腺癌を病理学的に検討した.
    原発部位は空腸下部であり, その部分の腸管の粘膜は長さ30cmにわたって著明に肥厚し黄灰色で硬度を増していた.組織学的には, 小腸粘膜の上皮組織より連続性に明瞭な腺管構造を形成しながら異型上皮細胞が浸潤性増殖を示し, 筋層および漿膜下にまで浸潤していた. また, これらの癌組織において粘液産生は乏しかった. 肝臓腹膜肺および胸膜には, 直径3mm-1cm, 黄白色の結節性の転移巣が多数見られ, それらの組織所見も原発部位と同様であった.
  • 宇井 昌生
    1990 年 43 巻 10 号 p. 766-769
    発行日: 1990/10/20
    公開日: 2011/06/17
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