日本獣医師会雑誌
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43 巻, 12 号
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  • 柴田 勲, 浜野 厚, 深見 直, 矢挽 輝武
    1990 年43 巻12 号 p. 859-863
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    抗体陽性の豚血漿および牛乳清について, 豚ロタウイルス (PRV) 感染に対する予防効果を検討するために, 12頭のHPCD (Hysterectomy-Produced Colostrum-Deprived) 新生子豚を用いPRVの実験感染試験を実施した. 試験区は豚血漿粉末 (5%に溶解後抗体価16倍) を投与した血漿区, 牛乳清粉末 (同溶解後抗体価4倍) を投与した乳清区, 非投与の感染対照区および血漿と乳清を投与した非感染対照区の4区を設け, 生後13日間毎日経口投与した. 3日齢時にPRVの経口接種を行い接種後13日目まで観察した.
    感染対照区の子豚はPRV接種後1日目から下痢を発症し, 元気食欲なく, 3頭中1頭は6日目に死亡した. また, 糞便中には多量のウイルス排泄が認められた. いっぽう, 血漿区および乳清区ではPRV接種後下痢を発症したもののその程度は感染対照区に比べ軽度で, 持続期間も短かく, 全て耐過・生存した. 特に血漿区は乳清区よりもこれらの症状が軽度で, さらにウイルス排泄の開始が遅れ, 排泄量が少なかった. ウイルス攻撃後の抗体応答は血漿区では7日まで中和抗体は検出されず, 乳清区および感染対照区は7日目から検出され始めたが, 各区とも13日目には約4-8倍となり各試験区にはほとんど差は認められなかった.
    以上の成績から抗体陽性の豚血漿等を経口投与した子豚はPRV感染に対して感染は阻止されなかったが, 軽度の発症で耐過・治癒し, 有効であることが示唆された.
  • 竹村 香里, 納 敏, 一条 茂, 更科 孝夫
    1990 年43 巻12 号 p. 864-868
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    剤型の異なるビタミン (Vit.) AD3Eプレミックスを牛に経口投与した後の血中濃度の変化を検討するため, 液剤とルーメン・バイパス剤をホルスタイン種の乳牛に経口投与し, 投与後の血清と赤血球のトコフェロール (Toc) 値および血清Vit. A (レチノールとレチニルパルミテート) 値を測定した. Vit. E 1,000IU投与では, 液剤およびルーメン・バイパス剤ともに投与後の血清と赤血球Toc値に変動は認められなかった. Vit. E 6,000IUの液剤投与では投与後の血清および赤血球Toc値の有意な増加が認あられたのに対し, 同量のルーメン・バイパス剤投与では有意な増加は認められなかった. 液剤のVit. A投与ではいずれも投与後に有意な血中濃度の増加を示したが, 5,000,000IU, 7, 500, 00IUおよび10,000,000IU投与では投与量の違いにかかわらず血中濃度の増加の程度に差が認められなかった. これに対し, ルーメン・バイパス剤ではVit. A10,000,000IUを投与しても有意な血中濃度の増加は認められなかった.
    以上の所見から, 成牛に対する液剤のVit. A, E投与ではVit. Eは6,000IU以上, Vit. Aは5,000,000IUで十分な血中濃度の増加が期待できるのに対し, ルーメン・バイパス剤ではVit. E 6,000IUおよびVit. A 10,000,000IUを投与してもいずれも血中濃度の増加は認められなかった点から, その有用性が劣ると考えられた.
  • 富下 義文, 中村 弘, 堤 尚三, 宮田 恵介, 原口 徹朗
    1990 年43 巻12 号 p. 869-873
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1989年12月, 福岡県内で飼育の18カ月齢の肥育牛 (ホルスタイン種) 33頭に肝蛭症が発生した. 10月下旬から同一牛房内の牛群に元気, 食欲の減退と削痩がみられるようになり, 12月にはほとんど食欲を廃絶するものも現われた. 糞便検査により多くの肝蛭卵が検出され, なかには糞便1g中に約1, 300個の肝蛭卵を排泄する牛もみられた。
    剖検では肝臓の腫大, 硬化, 胆管の肥厚がみられ, 実質や胆管内から多数の肝蛭虫体が検出された. 組織学的には肝実質に結合組織の増生, 実質の壊死, 膿瘍形成, 出血および好酸球の浸潤等が認あられた.
  • 籠田 勝基, 多賀 伸夫, 村上 光一, 須藤 治郎, 山我 義則, 梅村 孝司
    1990 年43 巻12 号 p. 874-879
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    中国地方の乳牛に多発する関節周囲炎について, その病性および発生要因を明らかにするために324頭の乳牛を対象として発生状況と臨床および病理学的検査を行って以下の成績を得た.
    1) 発生率は35.8%であり, 罹患部位では後肢が多く, 特に右飛節が高い罹患率を示した.
    2) 牛床マットを使用していない牛舎の発生率は使用している牛舎より高い傾向にあった. また, ルーズ・バーン方式の牛舎では発生が認められなかった.
    3) 患部の臨床所見では飛節外側や前膝背側の脱毛, 腫脹, 硬結や波動感を認めた.
    4) 超音波検査では病変部内部の構造と貯留物の確認が可能であったが, 関節腔内の描出はできなかった.
    5) 病変部の貯留液の性状ではムチン凝固能は不良であり, その部位の関節液とは明らかに異なっていた.
    6) 病理解剖所見では皮下に嚢胞または膿瘍が認められ, いずれも関節腔とは交通していなかった. 病理組織学的には嚢胞はリンパ管の拡張・癒合または粗髪化した皮下組織に形成された裂隙に由来し, 細菌の二次感染による化膿性炎をしばしば併発していた.
    7) 以上の所見より, 関節周囲炎の本態をなす皮下嚢胞は飛節あるいは前膝を侵襲する持続性, 反復性の物理的刺激により発生するものと思われ, 乳牛の管理方式と密接な関係を有しているものと考えられる.
  • 伊藤 英雄, 横山 勇
    1990 年43 巻12 号 p. 880-883
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    皮膚型牛白血病と診断された2歳のホルスタイン種について, 皮膚の腫瘤発見後約60日目に病理学的検索を行った. 皮膚の腫瘤 (径2-7cm) は頸部・肩部・背部・下腹部に約850個認められた. 剖検時, 腎には0.5-1.0cm大の堅い結節性病巣が, 第四胃には2-5mmの灰白色の結節が認められた. 組織所見としては, 腫瘍細胞は皮膚・肝・腎・骨髄・第四胃およびリンパ節 (耳下腺・腋窩・浅頸・腸骨下・膝窩・乳房上・内腸骨・仙骨・座骨結節) に認められ, ほとんどがリンパ芽球様細胞であった. 真皮層内では, 表皮の排除現象が認められた. また, 抗BLV抗体は陰性であった.
  • 杉山 広, 松本 正博, 杉本 光伸, 堀内 貞治, 冨村 保
    1990 年43 巻12 号 p. 889-892
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ウェステルマン肺吸虫 (2倍体型) 試験感染猫を経日的に剖検, 虫体を回収してその発育状況を調べた. まず回収虫体の生標本および染色封入標本を観察し, 排泄嚢内の排泄顆粒, 貯精嚢内の精子, 卵黄管内の卵黄細胞, 子宮内の虫卵の有無を調べ, 回収虫体を幼若虫, 未熟虫, 亜成虫および成虫の4発育期に分類した. その結果, 感染後1時間から7日では幼若虫, 感染後14日から28日では未熟虫, 感染後35日から70日では亜成虫, 感染後98日から245日では成虫と判定される虫体が各時期の回収虫体の中で主体を成すことが明らかとなった. 次に回収虫体の体長, 体幅, 口吸盤および腹吸盤の横径を計測したところ140日齢以上の虫体ではいずれも口吸盤の方が腹吸盤より大きいことが明らかとなった. また骨格筋に寄生する幼若虫が胸腔で未熟虫となり, さらに肺に移行して亜成虫となるまでの時期に, 虫体は急速にその体長および体幅を増大させることが示唆された.
  • 中曽根 由かり, 森田 幸雄, 大澤 一之, 福田 二三男, 遠間 隆弘, 栗原 貯, 重原 進, 松本 尚武, 飯塚 義之
    1990 年43 巻12 号 p. 896-900
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    豚の筋肉および尿中に残留するスルファジミジン (SDD) の高速液体クロマトグラフィー (HPLC) による定量法を検討した. 筋肉はトリクロロ酢酸で除蛋白処理後, 尿はクロロホルムで抽出後, オルトフタルアルデヒドと反応させHPLC分析に供した. SDDは逆相カラム (ODS), 溶離条件は0.1%リン酸水溶液: メタノール: アセトニトリル (62: 17: 21) で, 蛍光検出により定量した. 本法による回収率は筋肉で78.1%, 尿で89.6%であった.
    豚を用いた投与実験では, 尿中のSDDが検出限界値以下のとき筋肉からも検出されなかった. 尿中のSDDを測定することは筋肉中のSDD残留の有無を調べる指標となることが判明した.
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