日本獣医師会雑誌
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43 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 田中 公一, R B ATWELL
    1990 年 43 巻 4 号 p. 231-236
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 横田 修, 渡辺 卓俊, 斎野 仁, 青木 仁久, 三上 祐二
    1990 年 43 巻 4 号 p. 239-243
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルスに対する生ワクチン (No.12-43株) の抗体応答と胎子感染を検討した.
    ワクチン接種牛92頭による抗体応答率は, どの株でも接種時抗体が4倍以下でほぼ100%, 8倍以上ではNo.12株, Nose株の抗体レベルの高いものほど低下した. 抗体陰性の牛26頭では接種後2ヵ月目の平均抗体価 (n=26) はNo.12株4806.5倍, Nose株1170.0倍, KS86-1株121.4倍, 北海道の野外分離3株460.2, 135.0, 131.5倍で, ワクチン株以外でも抗体の上昇を確認した. 1年後の平均抗体価 (n=6) はNo.12株, Nose株で512倍, K (+) 株で64倍を示した.しかし, KS86-1株の抗体価が高いにもかかわらずNo.12株, Nose株に対して低ければワクチン接種により有意な抗体上昇を示したものもあり, 野外流行株の中には, ワクチン株と血清学的に大きく異なるものが存在していることも示唆された.
    妊娠牛では, ワクチン接種時抗体陰性の8頭が接種後全頭有意な抗体上昇を示し, これらの初乳摂取前子牛5頭からNo.12株に対する抗体を検出し, 胎子感染が示唆された.
    以上のことから, 今回用いたワクチンは十分な抗体応答を示し有効と思われるが, 妊娠牛への接種は避けるべきと考える
  • 岩崎 充祐, 後藤 義之, 三浦 康男, 長友 盛雄, 甲野 雄次
    1990 年 43 巻 4 号 p. 244-248
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1987年9月から12月にかけ, 宮崎県内の75戸の農家で飼養されていた993頭中76頭にイバラキ病の発生があった. 発症牛の大部分は4ヵ月齢から13歳までの黒毛和種の雌であった. 発生直後の発症牛から採った45例の血液中17例からイバラキウイルスが分離された. また, その1ヵ月以内に採った血液中には全例でイバラキウイルスに対する抗体が証明された. さらに, 本病未発生農家の飼養牛について, イバラキウイルスに対する抗体調査を実施したところ, 9月には258例中33例 (12.8%) の牛で陽性であったものが翌年1月には326例中169例 (51.8%) で抗体陽性となり, イバラキウイルスの感染が拡大したことも確認された.
    いつぼう, 節足動物媒介性ウイルスの動向を調査する目的で8月末より県南の一酪農家に配置した5頭のおとり牛から血液を採取し, ウイルス分離を試みた. その結果, 5頭中3頭のおとり牛から長期間にわたりイバラキウイルスが分離された. このおとり牛では臨床的に全く異常は認あられなかつた. おとり牛繋養農場から採集されたヌカカからはイバラキウイルスは分離されなかったが, 発生状況からみて牛→ヌカカ→牛の感染サイクルの存在が示唆された.
  • 横山 隆, 坂井 三千治, 戸田 明, 皆川 訓匡, 鈴木 新彦, 古田 賢治
    1990 年 43 巻 4 号 p. 249-251
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    家畜保健衛生所で実施している鶏のニューカッスル病の血球凝集抑制抗体価の測定, 乳用牛の白血病抗体の陽性率調査, および家畜保健衛生所の管外から導入した豚に実施したオーエスキー病の抗体陽性個体の摘発を事例として, 家畜保健衛生所業務にみられる検査標本数と検査結果の信頼性について考察した.
    家畜保健衛生所で慣行的に実施している各種検査の標本数は概して少なく, 検査結果の信頼性を高めるために標本数と標本の抽出について検討が必要であることが示唆され, 反省を迫まられた.
  • 天野 弘, 梶尾 規一, 柴田 昌利, 土屋 守, 佐野 幸男, 森 啓明
    1990 年 43 巻 4 号 p. 252-257
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    静岡県下の1放牧場において, 自然交配後に子宮膣部に膿様粘液が貯留あるいは子宮外口から流出する疾患が発生した. 発生率は10-40%で, 症状は約1ヵ月間で自然治癒し, 発症群の受胎率は80%以上であった.
    発症牛10頭の生殖器由来材料について細菌学的検査を行ったところ, Ureaplasmadiversumが全例から, Haemophilussomnusが4例から純培養的に分離された. 本症例とは別に健康牛を含む既交配牛の子宮腔部粘液について検索を実施したところ, U.diversumは健康牛26頭中12頭 (菌数≦103), 発症牛17頭の全例 (菌数≧105) から分離された.H.somnusは健康牛42頭中10頭, 発症牛33頭中12頭から分離された.U.diversum分離株の血清群には特定の傾向はなかった. なお, 両菌は未交配牛の子宮腔部粘液からも5-30%分離された.
    以上の菌検索成績から, 本疾病の発生にはU.diversumの関与が示唆されたが, H.somnusの関与については明確ではなかった.
  • 南 毅生, 武藤 眞, 渡辺 俊文, 石川 義広, 若尾 義人, 鈴木 立雄, 高橋 貢
    1990 年 43 巻 4 号 p. 267-270
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    脊髄損傷を受けた犬4症例に対して, 損傷部位を確認する目的で, 新しく開発された非イオン性低浸透圧のイオヘキソール (オムニパーク240) を用いて脊髄造影を実施した. 脊髄造影剤の注入量は4例ともに0.3ml/kgで, 注入部位は大槽とした. 造影所見は, 4 例ともに椎骨骨折部位の前方で, 造影剤の進入停止がみられた. また, 4例ともに椎弓または半椎弓切除術による外科的減圧法とプレートによる椎骨の固定を行ったが, 麻酔中ならびに術後には何ら異常な神経反応は認あられなかった. このことから, 重度の脊髄損傷犬に対しても, イオヘキソールによる脊髄造影法は極めて安全であり, 従来の造影剤と比較して, より優れた造影剤であることが示唆された.
  • 村田 浩一
    1990 年 43 巻 4 号 p. 271-274
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    神戸市立王子動物園に新規搬入したオウム類に血液原虫とミクロフィラリア (mf) の寄生が認められ, これらの寄生虫について形態学的観察, 他種の鳥への感染実験ならびに駆虫試験を実施した.
    寄生の認められたオウム類は2羽のオオバタン成雌および1羽のコバタン成雌であり, 形態学的観察によりオオバタンの寄生原虫はPlasmodiumsp., コバタンのそれはHaemoproteussp. もしくはH.handaiであると推察された. mfは頭端鈍円, 尾端の伸長を示し, 内部に濃染する多数の核を保有した. 原虫およびmf寄生オウムの血液によるドバトおよびセキセイインコへの感染実験により, 原虫の感染は達成されなかったが, mfの感染は成立し, ドバト血液中に長期間にわたってmfが検出された.
    駆虫試験の結果, mfに対するイベルメクチンの効果は概ね良好であったが, 原虫に対するピリメタミン, スルファドキシンの合剤の効果については, さらに検討の必要性が示された.
  • 伊藤 直之, 伊藤 さや子
    1990 年 43 巻 4 号 p. 275-276
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Babesiagibsoni (B.gibsoni) の感染が認められた母犬から生まれた1ヵ月齢の子犬3頭の血液を検査したところ, 1頭においてB.gibsoniの寄生が確認された. 年齢, 飼育環境および季節的な状況から, 胎盤感染によるものと推察され, B.gibsoniの自然感染経路としてフタトゲチマダニによる媒介以外に, 胎盤感染による経路のあることが示唆された.
  • 浅野 隆司, 保刈 成男, 村杉 栄治, 清水 弘美, 桑原 繁, 荒島 康友, 河野 均也
    1990 年 43 巻 4 号 p. 285-288
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ZoonosisとしてのCryptosporidium症の感染経路を解明し感染予防のたあの基礎資料とするため, イヌ295頭, ネコ32頭, そのほかの動物19頭について糞便検査を行い, Cryptosporidiumのオーシストの検出を行った。また, ヒトについてもAIDS患者3例, 悪性腫瘍患者46例のcompromisedhostを含む259例についても検査を行った.
    分離状況は, イヌ295症例中1例0.3%, ネコ32症例中1例3.1%に小型種のオーシストが検出されたが, ヒトおよびそのほかの検体からは全く検出されなかった.
    今回の調査では, イヌ・ネコのCryptosporidiumのオーシスト検出率が極めて低かったことから, わが国においてイヌ・ネコがヒトのCryptosporidium症の原因となる可能性はかなり低いものと考えられる。しかし, 近年飼育ペット数とくに海外から輸入されるペット数が増加傾向にあること, AIDS患者など免疫不全患者が増加傾向にあること, 有効な治療薬・予防薬がないことなどを考慮すると, Cryptosporidium症は今後増加する可能性もあり注意を要するべきであると考える.
  • 鹿嶋 傳, 沢谷 廣志, 宮代 章嗣, 大塚 喜善, 野村 靖夫
    1990 年 43 巻 4 号 p. 289-292
    発行日: 1990/04/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    と畜検査時に検出された7例の豚の消化器型リンパ肉腫を病理学的に検索した. 小腸 (7例) と空腸リンパ節 (7例) には大きな腫瘍塊が見られ, 大網 (6例), 大腸 (5例), 肝臓 (7例), 脾臓 (7例) などの漿膜面には播種性病変が認められた. 小腸腫瘍中心部では本来の構造は消失し, 腫瘍周辺部でもバイエル板が腫瘍細胞により置換され, 腫瘍細胞は主として粘膜下織に認あられた. 大腸, 肝臓脾臓などの漿膜面には腫瘍細胞の増殖巣が認められたが, 実質への浸潤はほとんど見られなかった. 炉胞性リンパ腫が2例に見られた. これらのことから, 豚の消化器型リンパ肉腫は播種性病変を作る傾向にあり, また炉胞性リンパ腫がかなりの割合で発生する可能性が示唆された. 豚の消化器型リンパ肉腫の発生は稀ではないと考えられた.
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