牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルスに対する生ワクチン (No.12-43株) の抗体応答と胎子感染を検討した.
ワクチン接種牛92頭による抗体応答率は, どの株でも接種時抗体が4倍以下でほぼ100%, 8倍以上ではNo.12株, Nose株の抗体レベルの高いものほど低下した. 抗体陰性の牛26頭では接種後2ヵ月目の平均抗体価 (n=26) はNo.12株4806.5倍, Nose株1170.0倍, KS86-1株121.4倍, 北海道の野外分離3株460.2, 135.0, 131.5倍で, ワクチン株以外でも抗体の上昇を確認した. 1年後の平均抗体価 (n=6) はNo.12株, Nose株で512倍, K (+) 株で64倍を示した.しかし, KS86-1株の抗体価が高いにもかかわらずNo.12株, Nose株に対して低ければワクチン接種により有意な抗体上昇を示したものもあり, 野外流行株の中には, ワクチン株と血清学的に大きく異なるものが存在していることも示唆された.
妊娠牛では, ワクチン接種時抗体陰性の8頭が接種後全頭有意な抗体上昇を示し, これらの初乳摂取前子牛5頭からNo.12株に対する抗体を検出し, 胎子感染が示唆された.
以上のことから, 今回用いたワクチンは十分な抗体応答を示し有効と思われるが, 妊娠牛への接種は避けるべきと考える
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