通年舎飼の環境にある生年月日の明らかな18ヵ月齢以上の, 雌ホルスタイン種561頭と黒毛和種154頭の永久前歯の萌出, 歯冠の磨滅 (咬合面象牙質の出現歯冠隣接面の咬耕の発現山形の歯列の形成) と歯根露出の状態を観察し, 次のとおりの年齢判定上の資料を求めることができた.これらは飼養およびその環境と密接な関係のあることが示唆された。なお, ホルスタイン種と黒毛和種の間に大きな相違はみられなかった。
23±2ヵ月齢: 第一永久切歯萌出.
30±2カ月齢: 第二永久切歯萌出.
36±3カ月齢: 第三永久切歯萌出.
44±4ヵ月齢: 永久犬歯萌出.
4歳: 第一, 第二永久切歯咬合面に象牙質が出現している。
5歳: 第三永久切歯咬合面に象牙質が出現し, 永久犬歯の切縁はわずかに磨滅している.
6歳: 永久犬歯咬合面に象牙質が出現し, 咬耗が認められる.
7歳: 咬耗と山形の歯列が認められ, 第一永久切歯の歯根が露出しているものがある.
8歳: 第一, 第二永久切歯の歳根が露出し咬耗と山形の歯列が認められる.
9歳: 第三永久切歯の歯根が露出し, 咬耗と山形の歯列が認められる.
10歳: 全歯の歯根が露出し, 咬耗と山形の歯列が認められる.
11歳: 全歯の歯根が露出し, 歯冠は短かく歯間に隙間が生じ, 咬耗と山形の歯列が認められる.
12歳以上: 全歯の歯根が顕著に露出し, 歯冠は短小で歯間に隙間があり, まれに咬耗, 山形の歯列, コップ状歯冠, 透明象牙質, 歯冠喪失などが認められる.正確な判定は困難である.
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