日本獣医師会雑誌
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43 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大沼 秀男, 杉本 治義, 山口 武史, 廣嶋 直人, 大浪 洋二, 菊池 元宏, 中野 克重, 気田 彦一
    1990 年 43 巻 8 号 p. 561-566
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    塩酸テトラサイクリン500mgを含有する発泡錠 (OT錠) を分娩後の乳牛34頭の子宮内に投与し, その後の卵巣機能および子宮修復状況を調べた. 実験は無投与 (A群: 6頭), 分娩6時間以内に2錠投与 (B群: 6頭), 同4錠投与 (C群: 6頭), 分娩24時間後に2錠投与 (D群: 6頭), 同4錠投与 (E群: 6頭) および胎盤停滞に対し分娩後6時間以内または24時間後に4錠投与 (F群: 4頭) の6群に分けて行った. 結果の大要は次のとおり. 1) 黄体初確認時期, 発情再帰時期は群間に差はみられなかった. 2) B, E両群の妊角幅およびC, E両群の子宮頸幅の修復時期はA群に比べて早かった (P<0.05). 3) B, C, D, E群の子宮内容液の色調は, A群に比べ赤変の程度が弱かった. いっぽう, F群は全例とも暗赤色を呈した. 4) OT錠投与後2日間の子宮内容液の細菌数はB, C両群では横ばい状態であったが, D, E両群では1日または2日間明らかに減少した. 5) F群では胎盤停滞特有の悪臭の発生がなく, 注目された.
  • 矢野 小夜子, 谷口 和紀, 池 博敏
    1990 年 43 巻 8 号 p. 567-571
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    近年, 壊疽性乳房炎が増加傾向にあることから, 潜在性乳房炎の乳汁について, 原因菌であるグラム陰性菌由来のエンドトキシン含量を測定した. また, 抗生物質の検出法であるペーパーディスク法で疑似反応を呈する乳汁中の細菌発育抑制物質について, 乳汁中の抗菌性物質であるラクトフェリンとリゾチーム量を測定し, その関与について検討した.その結果, CMT--++に比較し+++ではエンドトキシン量が有意に増加し, グラム陰性菌による汚染度の増加が明らかになった。またペーパーディスク法においてCMT凝集度の高い乳汁は阻止円を形成し, 原因物質としてリゾチームよりもラクトフェリンの関与が大きいことが認められた. 以上のことから, 潜在性乳房炎においてグラム陰性菌による汚染度が進行していることが示唆され, 乳房炎防除対策をたてるうえでその汚染防止が重要であると考える。また潜在性乳房炎では乳汁中にラクトフェリン等の抗菌性物質が増加しており, 抗生物質の疑反応を引き起こすことが認められた。
  • 丸野 史郎, 難波 弘
    1990 年 43 巻 8 号 p. 572-576
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 43 巻 8 号 p. 577-586
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 直之, 河原 智, 小笠原 俊実, 伊藤 さや子
    1990 年 43 巻 8 号 p. 591-594
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    上皮小体機能亢進症を伴った腎不全犬の症例に遭遇した. 症例は, 持続性の嘔吐を主訴として来院し, 臨床検査では血液尿素窒素, 血清クレアチニン, 無機リンの著増とカルシウムの著減が特徴的であった. また, 同時に非再生性の貧血も認められた. 症例の死後の病理学的検査では, 腎臓は間質性腎炎を呈しており, 残存している尿細管内にはエチレングリコール中毒で認められるシュウ酸カルシウムに酷似した結晶が観察された. 上皮小体は, 異形性のない主細胞の著しい増生により肥大していた. 肋骨助軟骨結合部においては, 関節軟骨ならびに滑膜は壊死していた. 以上の臨床検査ならびに病理学的検索の結果から本症例は, 上皮小体機能亢進症を伴った慢性の腎不全と考えられた.
  • 西田 明彦, 金谷 州明
    1990 年 43 巻 8 号 p. 595-598
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    子宮蓄膿症で来院した柴系雑種犬とタマネギ中毒の既往歴のある柴犬の2頭で異常に高い血清カリウム値が認められた. 両犬ともに血液検査前に何ら投薬も受けておらず, ACTH刺激試験の結果やBUN値も正常であった. そこで, 赤血球中カリウム値を測定したところ, 両犬とも高カリウム赤血球に起因した偽高カリウム血症であることが判明した.
    次に, 高カリウム赤血球を有する柴犬の発生頻度を知る目的で, 別に16頭の柴犬と18頭の洋犬の, 赤血球中カリウム値とナトリウム値を測定した. その結果, 4頭 (25%) の柴犬が, 高カリウム赤血球を有することがわかった. これらの柴犬の両親の産地は, それぞれ高知, 滋賀, 岐阜, 愛知, 茨城および埼玉の6県にわたっており, 特定の地域に由来しているものではないことがわかった. また, 高カリウム赤血球を有していなかった12頭の柴犬の赤血球中カリウム値も, 洋犬のそれよりは, 有意 (P<0.001) に高いことがわかったが, 赤血球中ナトリウム値については有意差は認められなかった.
  • 水谷 浩志, 飯田 孝, 丸山 務
    1990 年 43 巻 8 号 p. 602-605
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    L. monocytogenes の食品への汚染源および汚染経路を明らかにする目的で, 東京都芝浦と畜場に搬入された牛および豚の保菌と枝肉および食内処理過程での汚染実態調査を行った. 牛腸内容物からのL. monocytogenes の検出率は2.3%であったが, 豚からは検出されなかった. しかし, 枝肉におけるL. monocytogenes の汚染率は処理行程で異なり, 牛で6.7-10.0%, 豚で1.7-30.0%であり, 他のと畜場でと殺後搬入された豚枝肉が最も高かった. ナイフ, まな板などの食肉処理器材および従業員の手指からも14.3-31.0%の割合で検出され, これらが食肉への汚染源になる可能性が示唆された.
    いっぽう, 牛の枝肉を-1-0℃ で1日冷蔵保存することによりL. monocytogenesの検出率は半分以下に低下することが認められた.
    今回, 牛, 豚の腸内容物およびこれらの枝肉と食肉処理器材から分離したL. monocytogenesの血清型は7種に分類され, リステリア症の患者から多く分類される4b, 1/2bも含まれていた.
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