L. monocytogenes の食品への汚染源および汚染経路を明らかにする目的で, 東京都芝浦と畜場に搬入された牛および豚の保菌と枝肉および食内処理過程での汚染実態調査を行った. 牛腸内容物からの
L. monocytogenes の検出率は2.3%であったが, 豚からは検出されなかった. しかし, 枝肉における
L. monocytogenes の汚染率は処理行程で異なり, 牛で6.7-10.0%, 豚で1.7-30.0%であり, 他のと畜場でと殺後搬入された豚枝肉が最も高かった. ナイフ, まな板などの食肉処理器材および従業員の手指からも14.3-31.0%の割合で検出され, これらが食肉への汚染源になる可能性が示唆された.
いっぽう, 牛の枝肉を-1-0℃ で1日冷蔵保存することにより
L. monocytogenesの検出率は半分以下に低下することが認められた.
今回, 牛, 豚の腸内容物およびこれらの枝肉と食肉処理器材から分離した
L. monocytogenesの血清型は7種に分類され, リステリア症の患者から多く分類される4b, 1/2bも含まれていた.
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