日本獣医師会雑誌
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44 巻, 11 号
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  • 塩沢 道雄, 小泉 弘, 伊藤 賢, 原田 行雄, 今川 智元, 村上 覚史, 小枝 鉄雄, 東 量三, 藤原 弘
    1991 年44 巻11 号 p. 1093-1097
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Tonsillophilus suis感染による豚の扁桃炎の浸潤状況を調査する目的で, 1988年8月から1989年7月までの1カ年間に1, 322頭の肉用豚および56頭の廃用繁殖豚の口蓋帆扁桃を某と畜場で採取した.
    T. suis感染による扁桃炎の発生率は季節に関係なく肉用豚では平均16.9%であったが, 廃用繁殖豚では平均57.1%と高率に認められ, 廃用繁殖豚における病変は持続的に経過した.
    扁桃における病変は扁桃陰窩壁の膿瘍形成および扁桃実質内の肉芽腫の形成であった. 扁桃病巣内には特徴的な菌塊 (遊走子, フィラメント, 棒状の葉状体あるいは多室からなる塊茎体) が認められ, 菌塊の周囲には棍棒体が形成されていた.
    なお, と畜場採取材料における豚のT. suis感染による扁桃炎の発生状況に関する本調査はわが国では, 初めての報告である.
  • 納 敏, 森永 康裕, 一条 茂, 更科 孝夫
    1991 年44 巻11 号 p. 1098-1101
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    食肉検査センターに搬入された北海道十勝地方の子牛101頭 (ホルスタイン種99頭, 黒毛和種2頭) について, 甲状腺重量, 組織学的検査および血清甲状腺ホルモン濃度の測定を行った. 甲状腺重量では, 15g以下が43例 (42.6%), 15~30gが46例 (45.5%) であり, 30g以上の腫大例は12例 (11.9%) にみられた. また, 30g以上例のうち4例は組織学的にも実質性甲状腺腫像を示し, かっ血清サイロキシン (T4) 値の軽度な減少とトリヨードサイロニン (T3) 値の有意 (p<0.05) な増加によるT4/T3の有意 (p<0.01) な低下が認められた.
    以上の成績から, 一見健康と思われた供試子牛の多数例にヨード欠乏に起因した甲状腺腫が認められたので, 十勝地方は地方病性甲状腺腫の発生地域であると判断された.
  • 大嶋 吉道
    1991 年44 巻11 号 p. 1102-1104
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    大腸菌性下痢症に罹患した哺乳子豚を「強制離乳すると治癒する」という体験から, 病原性大腸菌の異常増殖を誘発する原因の1つとして母豚の乳質異常を指摘した. そこで, 乳質改善を図るために, 母豚に対してビタミン剤を投与するとともに, 飼料の給与を改善することによって, 子豚の下痢症, 特に大腸菌性下痢症の予防・治療を試みたところ, その効果が確認された. この体験に基づく子豚の大腸菌性下痢症の予防・治療法は本病の成因に関して新たな知見を提供するとともに, 抗菌剤の多用を防止するための有力な手段と考えられた.
  • 岡田 洋之, 工藤 由美子, 高橋 清志, 谷山 弘行, 松川 清
    1991 年44 巻11 号 p. 1105-1107
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    カナマイシン大量投与に起因する腎症が疑われた子牛の症例について病理組織学的検索を行った. 肉眼的に腎皮質は淡黄褐色を呈しており, 病理組織学的に近位尿細管を主座として空胞変性, 凝固壊死および尿細管腔の拡張, 管腔内に細胞残渣塊の存在等が認められた。 その他集合管の拡張や集合管上皮細胞の硝子滴状変性も認められたが, 糸球体にはほとんど著変は認められなかった. 本症例はカナマイシン中毒性腎症と考察された。
  • 川上 静夫
    1991 年44 巻11 号 p. 1108-1109
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    発情牛の生体の成熟卵胞から卵胞液とともに顆粒層細胞を採取する目的で, 今回, 卵胞液吸引器-短型を考案した. 当器具の製作にあたり特に留意した点は, 助手を必要とせず, 1人で操作できること. 針先に安定性をもたせて, 操作しやすくするために全長を極力短く (135mm) して片手で操作できるようにしたこと. 内部注射器の吸引容量は約2mlで成熟卵胞液の全量を吸引できること. さらに, 注射針は1.2m/m×34m/mで膣壁を介して卵胞内に刺入するときに曲がりにくいようにしたことである. これらは卵胞液の採取のみならず治療用として, 卵巣実質内ならびに卵胞嚢腫内への直接注射にも適している.
  • 大野 弘子, 早崎 峯夫, 大石 勇
    1991 年44 巻11 号 p. 1115-1120
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫成虫の寄生部位と寄生犬の心機能 (心拍数, 肺動脈内径, 右心拍出量, 1回拍出量, 右心流出路流速) について, 超音波断層エコー診断法により検討した. 実験には, 犬糸状虫寄生犬18頭と非寄生犬6頭を用いた. 虫体エコー像は全頭に共通して肺動脈内に観察された. このことはさらに, 成虫を頸静脈より移入した実験における虫体の行動観察からも確認された. パルスドップラー法による心機能の解析により肺動脈における成虫の位置は心機能の変化と相関した. また, 実験的心機能抑制試験によって, 血流量, 血流速度の極度の減少あるいは肺動脈弁口部逆流現象の発生は成虫の右心室への移動を誘発することが示唆された.
  • 坂本 吉正, 宮澤 良道, 安藤 博文
    1991 年44 巻11 号 p. 1121-1128
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    多層フィルム式のドライケミストリーシステムKonica Drylabo 80Mの犬血液化学検査における有用性を検討した. 対照機器としてウエットケミストリーシステム (RaBA-Σ および日立自動分析装置736型) を使用した. ヘパリンあるいはEDTA-2Na処理した犬血漿を用いて, T-Cho, BUN, TG, T-Bil, AST (GOT), ALT (GPT), ALP, LDHおよびCPKを測定した.両方法間における相関係数はT-Bil (RaBA), TG (RaBA, 日立) およびLDH (日立) を除き比較的良好で, r=0.907~0.992であった. CPKを除き, 同時および日差再現性の変動係数はそれぞれ1.5~11.3%および2.2~15.1%であった. 血清測定値と比較して抗凝固剤の使用による影響が認められた. 溶血による影響も認められ, 各項目の低値検体ほど, また溶血程度の強いものほど干渉現象は著しかった. Konica Drylaboシステムは操作がきわめて簡単, 測定時間も短く, 使用検体量も少量で獣医臨床上の有用は高いと思われる. しかし, 本システムは共存物質の干渉を受けるたあ, 測定値を解釈する場合, 十分に注意すべきである.
  • 中岡 祐司, 馬場 徹, 高橋 健
    1991 年44 巻11 号 p. 1131-1134
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    北海道根室地方には日本での肝蛭の好適な中間宿主とされるヒメモノアラガイL. ollulaは分布せず, コシダカモノアラガイL. truncatulaが広く分布している. このコシダカモノアラガイが根室地方の肝蛭の中間宿主であることを確認するために, 野外採集貝からのレジアおよびセルカリアの検出とミラシジウムによる感染試験を行った. 根室地方別海町で採集した1, 024個のコシダカモノアラガイ中2個からレジアとセルカリアを検出し, また感染試験ではコシダカモノアラガイ150個中90個にレジア, 6個に未成熟セルカリアの発育を認め, 北海道根室地方の肝蛭の中間宿主がコシダカモノアラガイであることを確認した.
  • 大谷 勝実, 安孫子 千恵子, 鈴木 吉一
    1991 年44 巻11 号 p. 1135-1138
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    と畜場搬入の乳牛にみられたノカルヂアによる乳房炎について病理学的, 細菌学的検査を行った.
    肉眼的には乳房割面は煮肉様で, び慢性に壊死, 水腫および出血がみられた. 組織学的には乳腺細胞の壊死, 乳腺胞への細胞浸潤および組織崩壊物の充満, 出血, 水腫がみられた. また, グロコット染色により乳腺胞を中心として間質内に黒染する菌糸を多数認めた.
    細菌学的には乳房病変部から白色乾燥状の集落が純培養状に分離された. 分離菌の生物学的性状ならびに菌体細胞壁のアミノ酸, 糖の分析結果によりNocardia asteroidesと同定された.
    以上のことから, 本症例は該菌による壊疽性の乳房炎と診断された.
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