鶏の血液化学検査にドライケミストリーシステムを応用し, 測定成績の評価を試みた. 検査対象は13週齢の高千穂鶏 (雄5羽, 雌5羽) と8週齢のブロイラー (雄12羽, 雌9羽) である.
検査項目は, 総たんぱく質 (TP), アルブミン (Alb), カリウム (K), 尿酸 (UA), 血液尿素窒素 (BUN), 総ビリルビン (T-Bil), グルコース (Glu), トリグリセライド (TG), 総コレステロール (T-CHO), トランスアミナーゼ (GOT, GPT), アルカリ性フォスファターゼ (ALP), 乳酸脱水素酵素 (LDH), γ-グルタミルトランスペプチダーゼ (γ-GTP), クレアチンフォスフォキナーゼ (CPK) およびアミラーゼ (Amy) の計16項目である.
血液化学検査値について, 両鶏種間に大きな差はみられなかった. 鶏は哺乳動物に比べ, TPは低く, 逆にGluは高い値を示すことが確認された. また, UAは極めて高く, BUNは0.3Mg/d
l以下であった. GPTとγ-GTPを除く他の血清酵素活性は非常に高く, 変動幅も大きかった. ドライケミストリーシステムによる各測定値の大部分は, 従来の方法による報告値と比較した場合, 大きな差異は認められなかった.
以上の成績から, ドライケミストリーシステムは, 鶏の血液化学検査にもとりいれることは可能と判断された. 検査成績を正しく読み取るためには, さらに各種検査項目に対する正常値の集積が必要であると思われた.
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