1985年1月10日頃から, 広島県下の黒毛和種繁殖牛27頭, 子牛16頭を飼養する農家において, 子牛が発熱, 発咳, 鼻漏および悪臭をともなった水様性の激しい下痢を呈し, 次いで下痢便は粘液と血液を混じた. 一部の病牛は排糞および排尿困難, 脱水状態となった.子牛全頭が発病し, このうち重症であった4および5カ月齢の子牛4頭が死亡した. 剖検所見では病変は主に消化管にみられた. 腸管漿膜面には点状出血ないし充出血が認められ, 内容物は血様であった.病理組織学的検査では, 軟口蓋, 舌, 食道および胃粘膜に充出血, 糜爛および壊死が観察された. 腸管では粘膜上皮細胞の剥離と固有層における軽度の細胞浸潤, および懐死性の肥厚が著明であった.ウイルス学的検査では4頭の鼻汁および下痢便, 4カ月齢の死亡子牛の肺, 肝臓, 心臓, 脾臓, 直腸および顎下リンパ節, 5カ月齢の死亡子牛の脳, 肺, 肝臓, 心臓, 脾臓および腎臓から細胞病原性牛ウイルス性下痢-粘膜病 (BVD-MD) カイルスが分離された.4カ月齢の死亡子牛の脾臓および5ヵ月齢の死亡子牛の腎臓から非細胞病原性BVD-MDウイルスが分離された. 細胞病原性BVD-MDウイルスのNose株に対する県内飼育牛の抗体保有状況は, 1981年49%, 1988年49%, 1991年64%, であった.
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