日本獣医師会雑誌
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45 巻, 3 号
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  • 千田 広文
    1992 年 45 巻 3 号 p. 159-165
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛におけるセルロースアセテート膜 (セパラックスを使用) 電気泳動による血清蛋白分画泳動像を把握するため, 33戸371頭についてβ およびγグロブリン分画 (γ 分画) の量と易動度に注目して群, 型別の分類を実施した結果, 4群14型に分類された.
    これらの牛を健康牛, 肝蛭濃厚感染地域牛, 疾病多発農家牛に区別し各群および各型の出現率を検討した結果, 健康牛ではγ分画の中央にピークがあり, このピークがあまり高くないI群のAからD型が多く出現していた.肝蛭濃厚感染地域牛ではγ分画の前半部 (陽極側) にピークのあるII群のG, HおよびI型が多く出現していた. しかし, 肝蛭濃厚感染地域牛でも肝蛭駆虫薬を定期的に投与しているN農家ではGおよびH型の出現率は低かった. 疾病多発農家牛ではI群でγ分画のピークが高いE, F型, およびγ分画の後半部にピークのあるIII群のL型が多く出現していた.
    II群のGおよびH型の出現率が高かった牛群では, 他の牛群と比較して, 肝蛭成虫を抗原とした寒天ゲル内沈降反応による沈降抗体陽性率および抗体価が高い傾向が認められた. また, 肝蛭自然感染牛の同一牛19頭について年間の推移を調査した成績では沈降抗体陽性率や抗体価が高く, 肝蛭の感染が考えられた11月から3月にかけてGおよびH型の出現率が高かった.これらのことから, GおよびH型の出現は肝蛭濃厚感染, 特に幼若肝蛭の感染と関係があることが推察された.
    いっぽう, これらGおよびH型も含めγ分画の前半部にピークが認められ, γ1分画が観察される泳動像では, 泳動したセルロースアセテート膜の観察で, γ 分画の前半部 (陽極側) にγ1分画に対応して単一のバンドが認められた.
  • 森田 剛仁, 島田 章則, 梅村 孝司, 本行 孝行, 大林 正士
    1992 年 45 巻 3 号 p. 166-169
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    約1カ月齢の黒毛和種牛2頭が重度の黄疸を示し淘汰された. 両例ともに出生直後より白色便と黄疸を呈し, 剖検により総胆管閉塞症と診断された. 組織学的検索の結果, 総胆管の閉塞は慢性炎症に基づく総胆管の広範な線維化によることがわかった. また, 両例の肝臓あるいは総胆管に肝蛭が寄生しており, 総胆管炎の原因として胎子期における肝蛭感染が疑われた. いっぽう, 3カ月齢の牛に実験的に総胆管結紮を行い, 28日経過後の肝臓の組織像を観察したところ, 野外症例とほぼ同様の肝病変が再現された. 子牛の胆管閉塞症の発生状況を調べる一つの試みとして, 本教室の過去4年間における1カ月齢未満の剖検例を検索した. その結果, 症例は28例あり, このうち先天性肝蛭寄生例が3例認あられた. その3例中1例は閉塞性黄疸を示していた. 同様に, 先天性黄疸例は3例あり, そのうち2例は閉塞性黄疸であった. 以上の結果から, 牛の胎子期における肝蛭寄生による総胆管炎は希れならず発生し, 総胆管閉塞症を惹起し得ること, および逆に牛の先天性黄疸の原因の1つとして先天性総胆管閉塞症があることが推定された.
  • 荻野 博明, 鍋谷 政広, 中林 大, 渡辺 大成, 達藤 恭介, 宮越 浩修
    1992 年 45 巻 3 号 p. 170-173
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1990年10月, 新潟県南部の放牧場で45頭の放牧牛群のうち10カ月齢のホルスタイン種, 雌牛1頭が出血性下痢と脱水症状を示して死亡した. 剖検では回腸および結腸における鮮血色の水様~粥状便の貯留, 腸管粘膜の充出血および漿膜と腸間膜の水腫が認められ, 腸間膜リンパ節は著しく腫大していた.組織学的には腸管は出血性腸炎像を呈し, 粘膜固有層および粘膜下織の血管内皮細胞に両染性の核内封入体がみられた. 核内封入体は腸間膜リンパ節, 腎臓および脾臓の血管内皮でも観察された. 封入体は酵素抗体法で牛アデノウイルス1, 3および7型の家兎免疫血清に対し陽性を示した. しかし, 血清間の希釈倍率に差が認められず, 酵素抗体法では血清型別は困難であることが明らかになった. 透過型電子顕微鏡検査で腸管粘膜固有層の血管内皮細胞の核内に結晶状配列をしたウイルス粒子が観察された.
  • 伊藤 直之, 川村 清市, 樋口 誠一
    1992 年 45 巻 3 号 p. 174-177
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    アセタゾールアミド (5.0mg/kg), フロセミド (0.5mg/kg) およびハイドロフルメサイアザイド (1.0mg/kg) の牛における利尿効果をクリアランス法により検討した.
    アセタゾールアミドはナトリウムおよびカリウムクリアランスと尿量の一時的で, 他の薬剤に比較して軽度な増加とクロールクリアランスの持続的な減少を示した. フロセミドは, ナトリウム, カリウム, クロールの各クリアランスと尿量の著明な増加を示したが, 効果の持続性は認あられなかった. ハイドロフルメサイアザイドは, ナトリウム, カリウムおよびクロールの各クリアランスと尿量の増加を示した. これらの変化はフロセミドに比べていずれも穏やかであったが, 持続する傾向が認められた.
  • 1992 年 45 巻 3 号 p. 178-184
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 直之, 伊藤 さや子
    1992 年 45 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    好中球のガラス面への粘着能力を応用して, カバーグラスに粘着させることにより犬好中球を簡便に分離する方法について15頭の犬を用いて検討した.
    その結果, 末梢血液をカバーグラスに滴下し, 37℃で20分間インキュベーションすることによりほぼ純粋で一定した数の好中球が粘着し, 分離することができた. また, 3頭の犬を用いて行った再現性の検討でも良好な結果が得られた.
  • 佐原 啓二, 筒井 淑郎, 内藤 洋三, 上葛 昭一, 仁科 徳啓, 半田 淑明, 林 道明
    1992 年 45 巻 3 号 p. 191-194
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Norethisterone (NET) を20%(w/w) の割合でシリコン樹脂と混合したペレット剤を犬の頸部皮下に移植して, その発情抑制効果を調べた. 供試犬として用いた雌犬11頭のうち, 10頭にはNET5-50mg/kg含有ペレット剤を, 1頭には対照としてNET無含ペレット剤を移植した. その結果, 5mg/kg移植犬では発情抑制効果が認められなかったが, 10mg/kg以上の移植犬では発情抑制効果が認められ, その抑制期間は用量依存的に長かった. すなわち, 移植後発情回帰までの月数は10-15mg/kgでは11-19カ月, 25-30mg/kgでは27-29カ月であった. 40-50mg/kgでは33カ月の観察期間中発情は認められかった.
    さらに, 10-15mg/kg移植犬3頭について回帰した発情での受胎性を自然交配によって検討したところ, 1頭は受胎し, 5匹の正常子犬を分娩したが, 他の2頭は不妊であった.
  • 1992 年 45 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 八嶋 務, 小田島 忠
    1992 年 45 巻 3 号 p. 203-206
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    平成2年8月頃より栃木県の那珂川において天然アユが出血斑を呈して大量に死亡したのはVibrio cholerae serogroup 09の感染によるものであった. 当河川ではアユのみが死亡していることから, 特にアユは本菌に感染発病しやすかったものと推測された.
    アユからの分離菌はオルニチンデカルボキシラーゼが陰性の特徴がみられ, リンコマイシン, コリスチン, ポリミキシンBの薬剤に耐性であった. また, プラスミッドDNAの保有はみられなかった. 病原性試験ではマウスを腹腔内接種 (108個/0.2ml) により死亡させ, 心臓内血液から接種菌が分離された. HeLa-S3細胞への明瞭な侵入像は認められなかったものの, 細胞変性がみられた. 培養上清には溶血毒およびVero細胞を細胞変性させる毒素が認められた.
    なお, 本件に関連して人のVibrio choleae non-01感染症の発生はみられなかった.
  • 1992 年 45 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 1992/03/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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