日本獣医師会雑誌
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46 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 天野 弘, 溝口 徹, 柴田 昌利, 土屋 守, 佐野 幸男, 鈴木 隆春
    1993 年 46 巻 5 号 p. 367-370
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    静岡県で1988~1990年の3年間に確認された豚のStreptococcus suis感染症の発生例について調査し, 分離菌の各種性状を調べた. 3年間に18症例35頭の発生があった. 1988年の症例はすべて髄膜炎例であったが, 1989年に多発性漿膜炎が, 1990年には肺炎, 敗血症および心内膜炎例もみられた. 漿膜炎は哺乳豚に, 肺炎, 敗血症および心内膜炎は肥育豚にみられた. 分離したS. suisの血清型別は36株中27株が2型であり, 残り9株は1および4型であった. 分離菌6株のBALB/cマウスに対する病原性では, 髄膜炎および敗血症由来株で強く, 漿膜炎および肺炎由来株は弱かった. また, 鼻腔および扁桃由来株には病原性はみられなかった. 薬剤感受性試験では, 病巣由来株はペニシリン系抗生物質に高い感受性を示し, KMおよびSMには低い感受性を示した. CTC, OTCおよびTSには耐件株が認あられた.
  • 山我 義則, 籠田 勝基, 島田 章則, 石原 茂樹, 町田 登
    1993 年 46 巻 5 号 p. 371-375
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    2歳未満の牛肺炎11例について超音波画像による観察を行い, 牛肺炎の超音波画像ならびにその診断意義について検討した. 得られた肺の超音波画像から, 健常肺は縞模様の多重エコーを呈する多重反射像あるいは音響陰影像, 非含気性の肺炎巣は低レベルなエコーを呈して認められ, さらに内部の気管支枝は高レベルなエコー, 含気性の肺炎巣は深部に尾を引くような点状エコーすなわちair echo, 肺気腫巣は健常肺と同様に多重反射像あるいは音響陰影像を呈して認められた. また, 今回供試した症例はいずれも臨床的に予後不良が示唆され, 剖検によって広範な領域にわたる無気肺を有する慢性肺炎であることが確認された. 以上のことから, 超音波画像診断法は牛肺炎の病巣の広がりとその程度を客観的に観察可能であり予後判定にも有用と思われる.
  • 羽生 章, 小笠 晃
    1993 年 46 巻 5 号 p. 376-381
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1975~1980年, 埼玉, 神奈川, 千葉, 長野, 岐阜, 宮崎および鹿児島の7県の養豚場において繁殖障害を呈した種雄豚40頭について, その発生状況を調査した. 鹿児島県以外の県における繁殖障害を呈した豚では発熱, 食欲減退, 陰嚢の充血, 腫脹, 精巣ならびに精巣上体の腫脹または萎縮および硬結などの類似した臨床症状が高率に認められた. 異常精液では無精子症群が425%, 精子死滅症群が25%, 精子無力症群が20%およびその他の異常を呈した群が125%であった. 厚生省の「全国日本脳炎情報」による各地域の日本脳炎ウイルス (JEV) の流行状況と繁殖障害の発生時期とがよく一致し, さらに埼玉, 長野および岐阜の3県における養豚場の血清疫学調査からもJEV感染が示唆された.
  • 柳沢 知己, 元村 泰彦, 上村 俊一, 浜名 克己
    1993 年 46 巻 5 号 p. 382-384
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    泌乳牛血液由来の好中球殺菌能に及ぼすレチノールおよびα一トコフェロールの影響をin vitroで検討した. 好中球の殺菌能を評価する方法としてはNitroblue Tetrazorium (NBT) 還元試験法を用いた. 実験は好中球を血液中より分離し, 培地 (RPMI 1640) にレチノール, α-トコフェロールを添加したものと無添加のもので行った. その結果, レチノールについては100IU/dl, α-トコフェロールでは20Qμg/dlの添加で最も高いNBT還元能が得られ, in vitroにおいて泌乳牛の血液中好中球の殺菌能はレチノールあるいはα-トコフェロールの濃度に強く影響されることが明らかとなった.
  • 木村 容子, 新井 一博, 湊 和之, 阿部 伸司, 野呂 明弘
    1993 年 46 巻 5 号 p. 385-391
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    年間平均1万kgを泌乳する40頭の高泌乳牛群から8頭を選定して各泌乳期における体液成分の変動を観察し, 高泌乳を支える生理機能を検討した. 牛乳中の各成分および血液中のグルコースと遊離脂肪酸を除くその他の成分は泌乳最盛期をピークとする変動を示し, グルコースと遊離脂肪酸は分娩直後に変動する傾向がみられた. また, 第一胃液成分は乾乳期と泌乳期間中では明かな差が認められた. しかし, これらの変動は各泌乳期における摂取栄養量と産乳量によるもので, いずれも生理値の範囲内にあった. 以上の成績から, 高泌乳を支えるためには第一胃液および血液成分の恒常性を維持することが必要で, 泌乳量に見合った適正な栄養量の摂取によって維持されると推察された.
  • 村田 智昭, 網本 昭輝, 白水 完治, 原 行雄, 井上 誠, 鹿江 雅光, 宇塚 雄次, 田浦 保穂, 中間 實徳
    1993 年 46 巻 5 号 p. 395-397
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    山口県西部地域に飼育されている犬におけるHepatozoon canisの感染状況を調査した. 調査総数353頭中H. canis感染犬は28頭であった. 感染犬の大部分は山間部において飼育されている猟犬あるいは室外飼育犬であった. 感染犬には雌雄および年齢に差を認めなかった. 同腹の子犬3頭に認められたことから垂直感染の可能性が示唆された. 感染犬から採取されたダニはツリガネチマダニ, フタトゲチマダニ, キチマダニであったが, H. canis感染の媒介ダニとされるクリイロコイタマダニは検出されなかった. 本調査によりH. canisはこの地域に広く蔓延していることが示唆された.
  • 宇塚 雄次, 原 行雄, 松本 治康
    1993 年 46 巻 5 号 p. 398-401
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    好中球アルカリフォスファターゼ (NAP) 活性値は細菌感染症で高活性値を示すことから, 医学領域では細菌感染症とウイルス感染症との鑑別に有用であるとされている. 今回, 犬におけるNAP活性値の臨床応用への基礎的検討を行い以下の結果が得られた. 正常犬でのNAP正常活性値 (NAP陽性指数) は, 成犬雄は119.1±21.0, 成犬雌は117.6±28.8であった. 試験管内エンドトキシン (ET) 刺激実験におけるNAP活性値は, ET量1.5μg添加刺激群では無刺激群の約1.6倍, ET量3.0μg添加刺激群では同様に約2倍になったのが認められた. 犬の実験的細菌感染群において, NAP活性値は臨床症状が認められた時に感染前の2倍以上に増加し, 症状が改善されると正常範囲内に低下した. 今回の実験結果から細菌感染症の診断にNAP活性の測定は有用であり, またその時の病勢判定に役立っことが推察された.
  • 岡本 芳晴, 南 三郎, 宮武 克行, 木下 久則, 江口 博文, 松橋 晧
    1993 年 46 巻 5 号 p. 402-405
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    犬の気管虚脱2例および健康犬1例に対し, Gianturco-Wallace型の拡張性金属ステント (エムス) を用いた治療法を試みた. エムスはX線透視下で気管を通して健康犬の頸部気管および気管虚脱犬の虚脱部に留置した. 健康犬では留置53日目の剖検でエムスは粘膜下に埋没していた. 気管虚脱犬では2例ともエムス留置後虚脱部は十分に拡張し, 発咳は漸次軽微となりチアノーゼを伴う呼吸困難もまったくみられなくなった. しかし, 約1年後に両例とも食道の圧迫所見とエムス留置尾側の気管虚脱を再発し急死した. 本法は気管虚脱の整復法として期待がもてるがエムスの材質, 拡張力について改善しない限り, 小型犬への応用には困難を伴うものと考えられた.
  • 1993 年 46 巻 5 号 p. 406-413
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 三澤 尚明, 入田 重幸, 宇藤 国英, 近藤 房生
    1993 年 46 巻 5 号 p. 417-419
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1990年4~7月にかけて, 宮崎市内のペットショップ10施設において30種の小鳥より採取した69検体のケージ内糞便から, C. neoformansの分離を試み分離株の薬剤感受性とマウスに対する病原性について検討した. 7施設 (70.0%) のペットショップの愛玩鳥11種 (36.7%) 16検体 (23.2%) からC. neofprmansが分離され, 各施設における分離率は9.0~44.4%であった. 分離株はアンホテリシンBとナイスタチンに高い感受性を示したが, グリセオフルビンには感受性を示さなかった. マウスへの腹腔内接種で致死率は低かったが, 接種20日後でも脳を含む各主要臓器から高率に投与真菌が回収された.
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