1990年7月, 石川県内で七面鳥6羽が元気消失, 流涙, 眼瞼部腫脹, 上眼瞼下腫瘤形成を呈して, 2羽が死亡した.病変部からは
Pasteurella multocida subsp.
multocidaが分離され, 病理組織学的に眼瞼病変部に細菌塊をともなう壊死巣, 肉芽腫性炎を認めた.分離された
P.multocidaの莢膜抗原はCarterのA型, 菌体抗原はHeddlestonの1型と同定され, 波岡のO-5型に一致した.分離菌の107個を静脈内あるいは眼窩内接種された各3羽の七面鳥はそれぞれ3羽あるいは2羽が死亡し, 109個の菌を静脈内接種された3羽の鶏は全例死亡した.また, 眼窩内接種された七面鳥で野外例と同様の病変を確認した.本症例はわが国における初めての七面鳥の
P.multocida感染症と思われる.
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