犬において基準量の1日1回定時給餌法では, 摂食後に起こる連続収縮運動の平均持続時間は胃, 十二指腸で16.6時間, 空腸で13.3時間, 回腸で15.9時間であり, その後は空腹期運動に移行して肛門側への伝播性強収縮波群 (IMC) phaseIIIが繰り返して出現した.IMCは次の摂食まで繰り返し起こり, 周期は胃, 小腸で平均87.3~98.1分であった.給餌基準量を2分して1日2回定時に給餌すると, 食後期運動の持続時間は延長し, 空腹期運動のそれは短縮して, IMCは減少した.自由採食法では胃, 小腸の食後期運動が持続し空腹期運動は消失したは給餌基準量の増加 (20~40%) にともなって食後期運動の持続時間は延長し, 空腹期運動は短縮し, 給餌量と食後期運動の持続時間の間には有意 (P<0.01) の相関が認められた.以上の成績から, 犬において調和のとれた胃, 小腸の食後期運動と空腹期運動を誘起するためには, 1日1回定量定時給餌が適に切と考えられた.
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