豚 (6~7ヵ月齢) における日本脳炎 (JE) ウイルスの持続感染の可能性を明らかにする目的で, 血液と脾臓からNested PCRによりJEウイルスゲノムの検出を試みた. 金沢市で1993年9月~1994年2月に調べた豚50頭中血液陽性検体は, 9月に10例中4例, 10月に11例中2例, 11月に9例中2例, 12月に10列中3例であった. 2月の10例の血液からはウイルスゲノムを検出できなかったが, 3例の脾臓単核球からウイルスゲノムが増幅された. いっぽう, 香川県では, 1995年7月~1996年3月に採取した豚160頭の血液について検索したところ, 陽性血液検体は9月に5例, 10月に2例, 11月に1例で, 1月, 2月, 3月の各20例からはウイルスゲノムが検出されなかったが, 脾臓単核球からは1月に1例, 2月に2例, 3月に1例でウイルスゲノムが増幅された. 以上の成績から, 冬期間にJEウイルスが豚の血液あるいは脾臓単核球に持続感染している可能性が示唆された.
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