一般状態および生殖器所見に異常が認められない黒毛和種牛32頭およびホルスタイン種牛8頭計40頭に, 発情時に人工授精を行い, 発情後7日にウマ絨毛性性腺刺激ホルモン (eCG) 500IU (13頭), ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (hCG) 3,000IU (13頭) あるいは生理食塩液 (14頭) を筋肉内投与して, 直腸検査による卵巣の形態的変化および血中プロジェステロン (P
4) 濃度を調べた. 受胎率はeCG群61.5%, hCG群46.2%, 対照群35.7%であったが, 各群間に有意差はなかった. 発情後14日および21日の血中P
4濃度は, eCG群およびhCG群が対照群と比べて高く, 特に妊娠例では発情後7-14日においてに有意に高かった (
P<0.05). eCG群およびhCG群では, 発情後14日の黄体直径が対照群より大きく, hCG群では副黄体が形成されて発情後40日においても存続していた. eCG群の卵巣には発情後14日に多数の小卵胞形成がみられたが, 直径10mm以上の卵胞数は対照群と差がなかった. 以上の成績から, 発情後7日に低単位eCGを投与することによりhCG投与時と同様に黄体機能が賦活され, 卵胞の過剰形成もなく, 受胎率が向上する可能性が示唆された.
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