日本獣医師会雑誌
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52 巻, 5 号
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  • 古屋 聡子, 森田 秀雄, 青木 茂
    1999 年 52 巻 5 号 p. 291-293
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛糞堆肥作成過程でのCryptosporidium murisオーシストの消長を調べた.牛糞260kgと籾殻を混和して水分含量65%に調整後堆積し, 経時的に測定したところ, 堆積後3日には温度は73℃ に達し, 堆積当初に2.26×105/gであったオーシスト数は, 堆積後8日には0.1×105 (4.4%) となった.その後堆肥の温度の低下とともに, オーシスト数も低値で推移したが, 水分および米糠を加えて再発酵させたところ, 堆積44および45日にはオーシストは検出されなかった.
  • 小林 中, 竹花 一成, 田島 誉士, 額爾 敦朝魯, 高橋 清志, 阿部 光雄
    1999 年 52 巻 5 号 p. 294-298
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    皮膚の脆弱, 創傷治癒遅延を示した牛の皮膚を組織学的に検索したところ, 真皮網状層のコラーゲン線維は疎開し, 無定形基質が豊富であったが, 生化学的解析ではプロコラーゲンの蓄積は認められず, デルマタン硫酸がほとんど認められなかった.本例はプロコラーゲンアミノペプチダーゼ欠損によるものではなく, デルマタン硫酸形成不全により皮膚の脆弱化および過伸展を呈した可能性が示唆された.
  • 岡本 光司, 八木 伸秋, 原田 道夫, 阿久沢 正夫, 出口 栄三郎
    1999 年 52 巻 5 号 p. 299-301
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    黒毛和種子牛 (1~73日齢) について日齢に伴う血清成分の変動について検討したところ, 各成分の推移は5つのパターンに分かれた.遊離脂肪酸, トリグリセライドおよびグルコース濃度は日齢との相関は認められなかった.総タンパク質, β-グロブリンおよびγ-グロブリン濃度は1~10日齢で最も高く, 日齢に伴い低下した.アルブミン, 総コレステロールおよびリン脂質の濃度は1~10日齢で最も低く, 20~30日齢には増加し, その後ほぼ一定レベルを維持した.α-グロブリン, シアル酸およびBUNは1~10日齢で最も高く, 10~30日齢までは低下し, その後ほぼ一定レベルを維持した.
  • 坂本 真紀, 石黒 信良, 望月 雅美
    1999 年 52 巻 5 号 p. 305-309
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    犬パルボウイルス (CPV) の猫由来株FPV-314と犬由来株CPVcc238 (いずれもCPV-2aタイプ) について, SPF子猫の皮下あるいは経口接種により病原性を検討した. 接種猫の一部は軽度の白血球減少以外に顕著な臨床症状を示さなかったが, 両株とも接種猫の主要臓器から検出され, cc238株ウイルスは糞便に排泄された. 特に経口投与では臨床症状・ウイルス増殖とも軽度であった. CPVの感染性は猫汎白血球減少症ウイルス (FPLV) ワクチン免疫猫血清によって著しく低下したことから, FPLVワクチンが猫のCPV感染に対して有効であることが示唆された.
  • 藤田 桂一, 酒井 健夫
    1999 年 52 巻 5 号 p. 310-314
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    猫の歯肉口内炎例では, 正常猫と比較してCD8+Tリンパ球数 (993/μl) は多く (P<0.01), CD4+/CD8+比は小さかった (P<0.01).しかし歯肉口内炎の程度とCD4+/CD8+比との問に相関は認められなかった.また血中CD4+Tリンパ球数にも差を認めなかった.
  • 大野 耕一, 松本 高太郎, 中市 統三, 岩田 祐之, 森本 将弘, 林 俊春, 猪熊 壽, 大西 堂文
    1999 年 52 巻 5 号 p. 315-318
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    重度貧血, 食欲低下を主訴とする雑種, 避妊雌, 8歳の犬が輸血により状態が改善したが, 第35病日には食欲廃絶, 嘔吐, 下半身疾痛を呈し, 重度貧血, 血清蛋白濃度の上昇および顕著な高カルシウム血症がみられた. 血清蛋白のγ分画には二峰性の鋭いピークが認められ, 免疫電気泳動でM成分がIgAであることが確認された. X線では脾腫と骨のパンチアウト像が認められ, 骨髄生検でペルオキシダーゼ陰性, IgA陽性の異型単核細胞が多数認められ, 多発性IgA骨髄腫 (ステージ3) と診断された. メルファラン・プレドニゾロン併用療法に対する反応性は乏しく, 第84病日に発死した.
  • 安福 潔, 槙山 功, 渕元 昭博, 大島 秀基
    1999 年 52 巻 5 号 p. 321-325
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    食肉中のセファロスポリン系抗生物質5種類の分析法をHPLCを用いて検討した.牛肉に各薬剤0.5μg (力価)/gを添加し, 0.3%メタリン酸-メタノール (7: 3) 混液で除タンパク・抽出後, Oasis HLBカートリッジカラムを用いた固相抽出法によりクリーンアップして供試溶液を調製し, Inertsil ODS-3V (4.6mmID×250mm) を分析用カラムとして, 25mmol/lリン酸ナトリウム緩衝液 (pH2.8)-アセトニトリル (75: 25) を移動相に用い, 4段階波長タイムプログラムで測定した.回収率は78.3~91.6%であり, いずれの薬剤も0.05μg (力価)/gまで検出可能であった.
  • 小野 一晃, 瀬川 由加里, 大塚 佳代子, 斎藤 章暢, 正木 宏幸
    1999 年 52 巻 5 号 p. 326-328
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    4℃ ・3日間保存した鶏肉および鶏皮からCampylobacter jejuniの分離を行ったところ, ストマッカー処理検体では非処理検体と比べて菌分離率が有意に高かったが, 増菌培養時間の延長により分離率は低下した
  • 藤井 博
    1999 年 52 巻 5 号 p. 341
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • John W. Krebs, Jean S. Smith, Charles E. Rupprecht, James E Childs
    1999 年 52 巻 5 号 p. 351-353
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    CDCには, 1997年, 49の州とコロンビア特別区, およびプエルトリコ準州から, (人以外の) 動物について8, 509例, 人について4例の狂犬病の症例報告が届いている.動物の症例のうち, およそ93%(7, 899例) は野生動物のもので, 7%(610例) が家畜のものである.報告された症例数は, 1996年 (7, 128例) に比べ, 19.4%の増加を示している.症例の増加は牛を除いて大半の種で見られる.1997年について, 種別の症例数の内訳は次のようになっている: アライグマ (50.5%;4, 300例), スカンク (24.0%;2, 040例), コウモリ (11.3%;958例), キツネ (5.3%;448例), 猫 (3.5%;300例), 犬 (1.5%;126例), 牛 (1.4%;122例).コウモリの症例は本土48州のうち46の州で確認され, その958例という数字は, 1996年の報告数を29.3%上回り, 1984年以来最多を記録するものである.アライグマの狂犬病は, 1997年になってオハイオ州にまで広がり, 19の州とコロンビア特別区で風土病としての流行が確認されている.このうち13の州で前年に比べて症例数の増加が見られ, とくに数が多いのは, ニューヨーク州 (1, 264例), ノースカロライナ州 (879例), ヴァージニア州 (690例), メリーランド州 (619例) である.また, 以下の5州で, 1996年を50%以上も上回る数字を示している: オハイオ州 (673.3%;1996年の15例から1997年の116例へ), マサチューセッツ州 (144.3%;115例から281例へ), サウスカロライナ州 (97.9%;96例から190例へ), コネチカット州 (97.4%;274例から541例へ), メイン州 (86.3%;131例から244例へ).一方, テキサス州中西部におけるキツネの症例やテキサス州南部における犬とコヨーテの症例は減少の一途をたどっており, それぞれの1997年の報告数は, キツネでは前年に比べて78.3%減って13例, 犬では26.7%減って11例, コヨーテでは63.2%減って7例となっている.家畜の症例報告は, 猫 (300例) で12.8%, 犬 (126例) で13.5%増加したが, 牛 (122例) で6.9%の減少を示している.動物全体の狂犬病の症例は, 1996年については31の州とコロンビア特別区で減少が報告されているが, 1997年については30の州とコロンビア特別区, およびプエルトリコで増加が報告されている.また, 報告数に変化のなかった州が1州あり (ミシシッピ州;5例), ハワイ州は唯一, 1997年に狂犬病の症例報告がなかった.人で確認された4例は, いずれも米国内でコウモリの狂犬病ウイルスに感染していた.
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