健康な乳牛における乾乳期の血清総コレステロール (TCho) 値と分娩後の末梢血白血球との関連性を明らかにする目的で, 16頭のホルスタイン種乳用牛を用いて分娩1カ月前から7カ月後までの毎月, 末梢血白血球の好中球比率, MHC
+細胞およびCD3
+細胞比率を観察した.供試牛は分娩予定日1カ月前の血清TCho値が100mg/d
l以下の低コレステロール群 (n=8) と100mg/d
l以上の対照群 (n=8) とに分けた.低コレステロール群の血清TCho値は分娩予定日1カ月前と分娩期 (分娩後10日以内), ならびに分娩2から7カ月後にかけて対照群と比較して有意な低値を示した.低コレステロール群における好中球比率は分娩1から7カ月後まで対照群と比較して高値を示す傾向が, またMHC class II
+10w (蛍光強度低陽性;単球) 細胞比率は分娩1カ月前と分娩期では持続的に増加する傾向を示した.一方, 分娩前ならびに分娩期における低コレステロール群のMHCclass II
+high (蛍光強度高陽性;Bリンパ球) 細胞比率は対照群に比べ有意に減少し, CD
3+細胞比率は分娩3から5カ月後までわずかな低値傾向を示した.これらのことから, 乾乳期の血清TCho値は分娩後の免疫状態と関連する可能性のあることが示唆された.
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