日本獣医師会雑誌
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54 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 長谷川 昌俊, 塩谷 治彦, 湯山 祐子, 大谷 利之, 神尾 泰宏, 丸山 崇, 辻岡 孝
    2001 年 54 巻 10 号 p. 757-760
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    静岡県内への豚サーコウイルス2 (PCV-2) の侵入時期を調べる目的で, 1981~1998年に病性鑑定を実施した県内38農場の豚180頭のホルマリン固定パラフィン包埋リンパ節からPCRによりPCV-2遺伝子の検出を試みた.その結果, 21農場に由来する58頭の材料に, PCV-2特異遺伝子断片の増幅が認められ, そのうち, 最も古い材料は1988年5月に一貫経営のA農場から採取したものであった.この農場では, 1988年2~6月に, 顕著な削痩を示して死亡した発育不良豚が合計39頭認められ, それらの病理学的所見は離乳後全身性消耗症候群 (PMWS) を強く疑わせるものであった.このことから, わが国では, 1988年にはすでにPCV-2が関与したPMWSの発生があったものと考えられる.
  • 大塚 浩通, 小岩 政照, 佐藤 洋平, 山下 政秀, 高田 知哉, 伊東 登, 星 史雄, 吉野 知男, 川村 清市
    2001 年 54 巻 10 号 p. 761-765
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    健康な乳牛における乾乳期の血清総コレステロール (TCho) 値と分娩後の末梢血白血球との関連性を明らかにする目的で, 16頭のホルスタイン種乳用牛を用いて分娩1カ月前から7カ月後までの毎月, 末梢血白血球の好中球比率, MHC+細胞およびCD3+細胞比率を観察した.供試牛は分娩予定日1カ月前の血清TCho値が100mg/dl以下の低コレステロール群 (n=8) と100mg/dl以上の対照群 (n=8) とに分けた.低コレステロール群の血清TCho値は分娩予定日1カ月前と分娩期 (分娩後10日以内), ならびに分娩2から7カ月後にかけて対照群と比較して有意な低値を示した.低コレステロール群における好中球比率は分娩1から7カ月後まで対照群と比較して高値を示す傾向が, またMHC class II+10w (蛍光強度低陽性;単球) 細胞比率は分娩1カ月前と分娩期では持続的に増加する傾向を示した.一方, 分娩前ならびに分娩期における低コレステロール群のMHCclass II+high (蛍光強度高陽性;Bリンパ球) 細胞比率は対照群に比べ有意に減少し, CD3+細胞比率は分娩3から5カ月後までわずかな低値傾向を示した.これらのことから, 乾乳期の血清TCho値は分娩後の免疫状態と関連する可能性のあることが示唆された.
  • 岡田 光司, 日笠 喜朗, 佐藤 耕太, 籠田 勝基, 森田 剛仁, 島田 章則, 竹内 崇, 前田 豊之
    2001 年 54 巻 10 号 p. 767-771
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    前頭部膨大と盲目を呈した黒毛和種子牛を, 超音波検査, X線検査および脳波検査により先天性内水頭症と診断した.病理学的検索では, 左右側脳室の高度の拡張, 小脳虫部の平坦化, 後頭骨, 特に後頭鱗の肥厚と平坦化, ならびに網膜の神経細胞の脱落および神経線維層の萎縮が認められた.以上の所見から, 本例の内水頭症は後頭骨の形成異常に起因するものと推察された.
  • 平林 亜子, 澤嶋 効, 澤嶋 裕子, 志鷹 秀俊, 黒澤 努
    2001 年 54 巻 10 号 p. 773-777
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    猫免疫不全ウイルス (FIV) 感染症例における一定期間後の死亡確率の予測式を作成した.予測式の作成にはFIV感染症の猫73頭の性別, 年齢, 飼育環境, 病歴, 臨床徴候, 血液検査データおよび血清化学検査データを用い, ロジスティックモデル多変量解析を行った.その後, FIV陽性猫65例のデータを予測式に代入したところ, 半年後, 1年後, 2年後の予後をそれぞれ84%, 80%, 84%の正診率で予測できた.
  • 阪口 貴彦, 白地 友子, 中野 康弘, 大前 省吾, 小澤 信一, 南 毅生
    2001 年 54 巻 10 号 p. 779-783
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    病理組織学的検査の依頼を受けた犬の乳腺腫瘍症例の中で, 臨床徴候, 病理組織学的検査所見より炎症性乳癌と診断した113例について, 犬種, 病変の時間的経過, 治療方法, 治療効果, 予後に関してアンケート形式による追跡調査を各動物診療施設に実施し, 結果を集計・分析した.回答が得られたのは63例で, 発生犬種は, 雑種, シェットランド・シープドッグ, トイ・プードル, シー・ズーの順に多く認められた.発生年齢は10歳以上での発生が76.2%を占めており, 最後乳腺から発生する例が多く認められた.治療方法は, 病変部分の切除を施した外科的治療例が数多く認められ, 内科的治療では, 抗生物質と副腎皮質ホルモンの投与が一般的であった.肺転移は22例中21例 (95.5%) に, 初診から1週間以上3カ月以内の期間で認められ, 63例中46例 (73.0%) が初診から3カ月以内に死亡していた.
  • 真田 直子, 真田 靖幸
    2001 年 54 巻 10 号 p. 785-789
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1997~1999年の3年間に東南アジアから輸入された27羽のワカケホンセイインコ (Psittacula krameri manillensis) が外来として当院で診察を受けた.27羽のうち輸入後早期に死亡した18羽を病理学的および微生物学的に検査した.'97年の症例は強毒内臓型ニューカッスル病, '98年の症例はアスペルギルス症またはセキセイインコのヒナ病, '99年の症例はクラミジア症が主たる死亡原因と考えられた.国内の家畜・家禽衛生および公衆衛生の観点から輸入愛玩鳥に対する検疫制度の確立が強く望まれる.
  • 岡本 芳晴, 宮武 克行, 井上 輝男, 南 三郎
    2001 年 54 巻 10 号 p. 791-794
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性外耳道炎罹患犬3例に対して, 耳介輪軟骨を温存した外耳道全摘出術を実施した.耳介輪直下の皮膚を逆L字型に切開後, 耳介軟骨を周囲組織より超音波メスで剥離した.耳介輪直下の皮膚切開線の位置と骨性水平耳道部入り口で耳介軟骨を切断し, 除去した.耳介輪軟骨内側と耳介輪直下の皮膚切開部を縫合し, 次に耳介輪外側の耳介軟骨を切除・短縮させた後, その部位を縫合した.本術式を用いることにより術後耳介の変形を防することができた.
  • 高橋 朱実, 梶田 弘子, 瀬川 俊夫, 白岩 利恵子, 藤田 紀弥, 平賀 雅之, 大島 寛一
    2001 年 54 巻 10 号 p. 797-800
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    岩手県内の食鳥処理場において, 1997年6月~1999年2月にブロイラー鶏の盲腸便およびと体拭き取り検体から分離されたSalmonellaTyphimurium 36株について, テトラサイクリン (TC), アンピシリン (ABPC), クロラムフェニコール (CP), カナマイシン (KM), ナリジクス酸 (NA), スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤 (SXT), ストレプトマイシン (SM), ホスホマイシン (FOM), ノルフロキサシン (NFLX) の9薬剤に対する感受性試験を行った.30株 (83.3%) で複数の薬剤に対する耐性が認められ, 平均では3剤に対して耐性であった.また, 盲腸便より分離された1株は多剤耐性S. Typhimurium definitive phage type 104 (DT104) と確認された.
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