乳房炎牛98頭, 健康牛19頭の乳汁中のエンドトキシン (Et) を定量し, 臨床検査所見, 臨床病理検査所見とあわせて感染菌の違いによる病態を検討した. 乳汁中Et濃度はグラム陰性 (G (-)) 菌群 (33頭) が1, 156.1±88.7pg/m
lで, グラム陽性 (G (+)) 菌群 (31頭) 8.3±13.7pg/m
l, 真菌群 (6頭) 19.8±9.1pg/m
l, 健康牛群5.9±2.8pg/m
lに比べ高かった. G (-) 菌群はG (+) 菌群に比べ, 乳汁の透明化は多く, PCV, リンパ球割合, Crea, BUN, AST, ALP, LDHは高く, 好中球割合, Plat, TPは低かった. G (-) 菌による乳房炎牛のうち, 予後不良群 (12頭) の乳汁中Et濃度は60, 673.6±26.1pg/m
lで, 回復群 (21頭) 115.9±25.1pg/m
lに比べ高かった.予後不良群は回復群に比べ, 活力なし, 排便の異常が多くみられ, PCV, BUN, AST, LDH, CKは高かった.以上, 乳房炎の病態は感染菌により異なり, G (-) 菌による乳房炎は, 予後の良否で乳汁中Et濃度に差を認めた.
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