日本獣医師会雑誌
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54 巻, 7 号
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  • 和田 恭則, 深井 綾子, 山田 麻帆, 恩田 賢, 小野 啓, 池田 輝雄, 印牧 信行, 松浦 健二, 田村 弘志, 田中 重則
    2001 年 54 巻 7 号 p. 521-525
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    乳房炎牛98頭, 健康牛19頭の乳汁中のエンドトキシン (Et) を定量し, 臨床検査所見, 臨床病理検査所見とあわせて感染菌の違いによる病態を検討した. 乳汁中Et濃度はグラム陰性 (G (-)) 菌群 (33頭) が1, 156.1±88.7pg/mlで, グラム陽性 (G (+)) 菌群 (31頭) 8.3±13.7pg/ml, 真菌群 (6頭) 19.8±9.1pg/ml, 健康牛群5.9±2.8pg/mlに比べ高かった. G (-) 菌群はG (+) 菌群に比べ, 乳汁の透明化は多く, PCV, リンパ球割合, Crea, BUN, AST, ALP, LDHは高く, 好中球割合, Plat, TPは低かった. G (-) 菌による乳房炎牛のうち, 予後不良群 (12頭) の乳汁中Et濃度は60, 673.6±26.1pg/mlで, 回復群 (21頭) 115.9±25.1pg/mlに比べ高かった.予後不良群は回復群に比べ, 活力なし, 排便の異常が多くみられ, PCV, BUN, AST, LDH, CKは高かった.以上, 乳房炎の病態は感染菌により異なり, G (-) 菌による乳房炎は, 予後の良否で乳汁中Et濃度に差を認めた.
  • 石川 初, 上村 俊一, 牛之浜 寛治, 浜名 克己, 坂本 紘
    2001 年 54 巻 7 号 p. 527-532
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    発情周期の異なる牛7頭の体表15か所の経穴部位に灸処置を行い, 灸処置が血中性ステロイドホルモン濃度と子宮動脈血流量に及ぼす影響について検討した. 灸処置後の血中プロジェステロン (P) およびエストラジオール-17β 濃度は, 処置の時期が黄体退行期と発情期では大きな差異は認められなかったが, 黄体開花期では有意差はないもののP濃度が増加し, 黄体の直径が25mm以上を示す期間が3日間延長した. また, 黄体開花期処置群においてプロスタグランジン (PG) Fの代謝産物である血中13, 14-dihydro-15-keto PGF (PGFM) 濃度の有意な増加がみられたが, 黄体の退行や子宮動脈の血管収縮は認められなかった. 超音波ドプラ診断法により求めた子宮動脈血流量は, 灸処置後30分に25.1%の有意な増加が認められた. 牛への灸処置により, 黄体開花期処置群では血中PとPGFM濃度の増加および子宮動脈血流量に一過性の増加がみられた.
  • 高島 久幸, 富松 洋, 柵木 利昭
    2001 年 54 巻 7 号 p. 533-536
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1999年2月, 岐阜県内の一養豚場において, 同腹の肥育豚11頭中5頭が生後55日から元気消失, 発咳, 呼吸困難を呈し, 残りの6頭にも同様な症状が現われた. 60~70日齢時に5頭が散発的に死亡した.剖検所見は全頭同様で, 典型的な胸膜肺炎像を呈していた. 組織学的検査では化膿性線維素性肺炎が認められ, 肺からActinobacillus pleuro-Pneummiae血清型1が分離された. 同居豚6頭の血清について, 分離菌に対する血清中の抗体レスポンスを免疫組織化学染色法 (酵素抗体法;IS) および補体結合 (CF) 反応により測定した. IS-IgG抗体は, 発症後4日目には6頭中4頭で, 8日目には全頭で検出された. 一方, CF抗体は, 発症後4日目には6頭中3頭で, 8日目には6頭中4頭で検出された. 以上の成績から, 免疫組織化学染色法によるA.pleuropneumoniae抗体測定は生前診断の一助となり得ることが示唆された.
  • 本間 朗, 宮原 和郎, 白井 彰人, 山田 一孝, 広瀬 恒夫, 佐藤 基佳
    2001 年 54 巻 7 号 p. 537-541
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    育成乳牛の細菌性心内膜炎2例について, 臨床所見の観察とあわせて, 断層心エコー法により疣贅形態の経時的変化を評価した. 疣贅は, いずれも観察開始当初から高エコー像を呈し, エコー源性は次第に増強傾向を示した. また, 漸次増強する音響陰影が出現した. これらの所見から, いずれの疣贅も観察開始時にはすでに器質化の過程をとっており, その進展に伴って石灰化が徐々に進行したものと判断され, 病理組織学的所見からも裏付けられた. 加えて, 扁平化や縮小化を示した疣贅も認められた. 以上の所見は感染の緩解に一致するものであり, 顕著な変化が認められず異常なく推移した臨床所見や血液所見からも支持され, 疣贅形態が変化する過程を超音波学的に実証したものと考えられた.
  • 羽生 宜弘, 青柳 高弘, 佐藤 良彦, 桑本 亮, 佐藤 友吾, 木下 茂人, 伊藤 隆, 井口 又雄
    2001 年 54 巻 7 号 p. 543-545
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    急死した19ヵ月齢の肉用牛1頭を検査した. 剖検で全身性に高度の黄疸を認め, 肝臓には胡桃大の限界明瞭な黄白色結節が多発していた. 組織学的には肝臓の結節は凝固壊死より成り, 壊死巣辺縁には多数のグラム陰性長糸状桿菌および炎症性細胞を認めた. 細菌検査では肝臓からFusogacterium necrophorumが純粋に分離され, 空腸内容物からClostridium perfringensが2.8×108 CFU/g分離された. 以上の成績から本病は肝壊死桿菌症と診断され, 結節病変は肝膿瘍の初期病巣と考えられた. 本症例では黄疸と小腸でのC.Perfringensの増殖も急死に関与したものと推察された.
  • 上村 俊一, 田端 克俊, 山本 昇, 大石 明広, 阿久沢 正夫
    2001 年 54 巻 7 号 p. 547-550
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    出生直後の黒毛和種雄子牛が, 臍帯からの出血が止まらず, 処置のため本学農学部附属家畜病院に搬入された. 初診時, 臍帯からの持続出血 (滴下) と臍ヘルニアがみられた. 腫脹したヘルニア嚢を外科的に切除し, 6cmのヘルニァ輪を閉鎖した. 血液検査では大顆粒好酸球の存在と止血能の低下 (血小板コラーゲン凝集能の低下, APTTとTEGの延長), 眼底検査では脈絡膜の血管が透けて見える赤目状態が認められた. 母牛と種雄牛の遺伝学的検査から, Chediak Higashi症候群 (CHS) が示唆され, 本症をCHSを合併した重度の臍帯出血例と診断した.
  • 吉川 博康, 黒滝 哲朗, 東山崎 達生, 小山田 敏文, 吉川 尭
    2001 年 54 巻 7 号 p. 551-555
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    犬に発生する難治性の皮膚脂肪肉芽腫について病理組織学的検索を行った. 検索例は, 年齢3カ月~8歳の12例で, その発生は1997~1999年に診断された2, 260例の犬の皮膚病変の約0.5%に相当した. 病理組織学的には, 脂肪を中心に, 著しいマクロファージの反応を特徴とする肉芽腫であった. 肉芽腫は, 結合組織によって区画されるタイプ1, 境界不明瞭で病巣が大型化するタイプII, タイプ1とタイプIIが混在するタイプIIIの3型に分類された. また, タイプIII症例ではリンパ節と肺への転移が認められた. 病巣形成に関しては, 自己組織抗原性の発現, 脂溶性物質に対するアレルギー性反応による可能性が考察された.
  • 織 順一, 吉海 拓史, 吉村 修一, 氏野 英昭, 高瀬 勝晤
    2001 年 54 巻 7 号 p. 557-560
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    骨盤骨折の不正癒合により二次的に慢性便秘症や巨大結腸症を起こした犬1例, 猫3例に対し, 骨盤3点骨切り術によって遊離した寛骨臼を外側に変位させて固定し, 骨盤腔を広げた. その結果, すべての症例において臨床的およびX線学的に便秘症や巨大結腸症は改善された.
  • 中市 統三, 山内 大明, 新山 亮, 宇根 智, 田浦 保穂
    2001 年 54 巻 7 号 p. 561-564
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    頭蓋骨陥没骨折に伴う脳の圧迫により神経症状を呈した犬に対して外科手術を実施し, 良好な結果を得た. 動物は来院時意識レベルが低下しており, 起立不能であった.また抑うつと四肢の遊泳運動を中心とした興奮状態を繰り返しており, 頭部X線検査により頭蓋骨骨折を認めた. 鎮静下で行ったMRI検査では, 頭蓋骨陥没骨折による脳の圧迫と, それに伴う広範な脳浮腫が確認された. 来院から6時間後, 受傷から約55時問後に外科手術を実施し, 陥没した骨折片を除去した. 手術後動物の回復は良好であり, 意識レベルも徐々に回復し, 手術から7日目までに自力歩行可能となった, 現在手術から22カ月が経過しており, 視力は喪失したままであるものの, 日常生活に支障はみられていない.
  • 伊東 輝夫, 内田 和幸
    2001 年 54 巻 7 号 p. 565-567
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    90日齢のアメリカン・コッカー・スパニエルが2日間の食欲不振と元気消失を主訴に来院した. 後肢の脱力と筋萎縮が認められ, その後1週間で全身の神経筋障害が進行し, 肛門反射の低下, 四肢麻痺, および嚥下困難を呈して死亡した. 病理組織学的検査では広範な非化膿性髄膜脳脊髄炎, 筋炎, および多臓器への原虫寄生が認められ, 虫体は免疫組織化学的に抗Neospora caninum抗体に陽性を示したことからネオスポラ症と診断された.
  • 須藤 正英, 大谷 勝実
    2001 年 54 巻 7 号 p. 569-574
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    蔵王山系に生息するカモシカの糞便を中心に, 下痢原性病原体保有状況を調査した. その結果, カモシカ53頭中2頭 (3.8%) から5種の血清型のべ口毒素産生大腸菌が分離された. この中でO91: H-株は, 同時期に分離されたヒト由来株と同じ血清型であったが, パルスフィールドゲル電気泳動法によるDNA解析では, 両株は異なる切断パターンを示した. 原虫では, カモシカ13頭 (24.5%), 犬1頭 (11.1%) からジアルジアのシストが検出された.検出個数は1g当たり20~5, 494個であった.クリプトスポリジウムは検出されなかった. この結果から原虫による水系汚染の関与を探る目的で, 同山系を水源とする河川水の調査を実施した. 上流域3地点からはジアルジアは検出されなかった. 下流域1地点から積雪時期にジアルジアが検出されたが, この汚染は地理的にみて, 生活・農業排水の関与が考えられた.
  • 高橋 貢
    2001 年 54 巻 7 号 p. 579
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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