千葉県内の1酪農家で1998年1月~1999年6月に10例の牛流産が発生し, 7 例について病性鑑定を実施した. 2例の胎子には皮下組織の充・出血を伴った浮腫および著しい暗赤色の胸・腹水の増量がみられた. 病理組織学的所見は, グラム陽性菌塊を伴った化膿性気管支肺炎であり, 免疫組織化学的にその菌塊は抗
Arcanobacterium (Actinomyces) pyogenes血清に陽性を示した. また上記の2例の胎子および他の1例の母牛膣スワブから
A.pyogenesが純粋に分離された. さらに, 千葉県における過去12年間, 181例の牛異常産を回顧的に調査したところ,
A.pyogenesによる流産は8例 (4.4%) であり, 細菌性流産の73%に相当した. これらの流産は3産目以降に発生しやすく, 春から初夏の発生が目立った.
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