乳牛への分娩予定2週間前 (pre) から分娩時までの塩化アンモニウム塩経口投与 (1日60g) が, 分娩時の血清総カルシウム (Ca) およびイオン化カルシウム (iCa) 濃度に及ぼす効果について, 無投与群を対照に検討した. 対照群のCaおよびiCa濃度はpreの8.9±0.5mg/d
lおよび1.27±0.04mmol/
lに対し, 分娩時には6.1±2.6mg/dlおよび0.93±0.40mmol/
lとそれぞれ有意に低下した (P<0.05). 一方, 試験群のCaおよびiCa濃度はpreの9.3±0.7mg/d
lおよび1.29±0.04mmol/
lに対し, 分娩時には8.1±0.7mg/d
lおよび1.16±0.06mmol/
lであり, 有意な差は認められなかった. 両群におけるCaおよびiCa濃度はpre時には有意差が認められなかったが, 分娩時の試験群は対照群よりも有意に高値であった. また, 対照群の尿pHは試験期間中有意な変動が認められなかったが, 試験群ではpre時の8.6±0.3から分娩時の7.5±0.3に有意に低下した. 試験群では臨床および血液化学検査項目の異常は認められなかったが, 対照群では乳熱を発症した. よって, 分娩予定2週間前から分娩時まで1日60gの塩化アンモニウムを経口投与することにより, 分娩時の低カルシウム血症を安全に予防することが可能であると考えられた.
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