呼吸器病が多発していた大規模肉牛農場において, 臨床的に健康な10カ月齢の黒毛和種または7カ月齢のF1種の導入時に, 牛5種混合ワクチンと同時にエンロフロキサシン (ERFX群, n=401) またはチルミコシン (TMS群, n=501) を1回皮下注射し, 呼吸器病発症予防効果を対照群 (ワクチン単独投与群, n=236) と比較した. その結果, ERFX群とTMS群では対照群に比べ発症率が有意に低く (P<0.01), 臨床的に高い予防効果が認められた. 細菌学的検査では, 試験群に比べ対照群で3日後の
Pasteurella multocidaの分離率が著しく増加していた. また, 導入時の鼻汁から分離された
Pmultocidaと
MycoplasmaはERFXに対し高い感受性を示したが, TMSに対しては
Mycoplasmaの菌株の多くが耐性を示した.
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