アシュネル眼球圧迫試験における心拍変動 (HRV) を健常な成犬7頭 (雑種5頭, イングリッシュポインター2頭) で検討した. 眼球圧迫は959/cm
2, 20秒間とした. HRVの指標には, 心電図のRR間隔 (RRI) の平均値, 標準偏差 (SD
R-R), 変動係数 (CV
R-R) および瞬時心拍数 (IHR) を用いた. RRI時系列 (RRITS) は13点単純移動平均法を用いて, 短期変動時系列 (STTS) と長期変動時系列 (LTTS) に分離した. STTSと呼吸周期の平均周期は有意な正の相関 (r=0.974) を示したので, 呼吸性洞性不整脈 (RSA) はSTTSに反映されると考えられる. RRITSのSD
R-RとCV
R-R, およびLTTSのCV
R -Rは眼球圧迫により有意 (P<0.05) に上昇した. したがって, 生理的なRSが顕著な犬でも, 眼球圧迫による副交感神経の緊張度亢進はCV
R -Rに反映されると考えられる. アシュネル眼球圧迫試験の生理的な最大徐脈は, 眼球圧迫前1分間の平均IHRに対して-10.4±3.4拍/分 (-13.1±5.0%), 95%信頼区間は-12.9~-7.8拍/分 (-46.8~-9.4%) であり, 17%以上の徐脈が犬における本試験の反射亢進の暫定的基準となると考えられる.
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