ホルスタイン種乾乳牛の血漿中レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ (LCAT) 測定が, 産前産後に発生する脂肪肝予察に有効か検討した. 調査1は, 高ボディコンディションスコア (BCS) 乾乳牛16頭を用い, 分娩予定2週前から分娩3カ月後まで計8回, 血中LCAT, 遊離脂肪酸 (FFA), β ヒドロキシ酪酸 (BHBA), 総コレステロール (TCho), 遊離コレステロール (FCho), コレステロールエステル (ChoE), 血糖 (Glu), アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST), γ グルタミルトランスフェラーゼ (GGT) およびBCSを測定した. 重度の脂肪肝発生の有無によって16頭を2群に区分し, 両群間で比較したところ, 脂肪肝発生群 (8頭) の乾乳期LCAT, TCho, FCho, ChoEは, 非脂肪肝発生群 (8頭) に比べ, 有意に低かった (
P<.01). さらに, 分娩2週前および1週前のLCAT活性値およびTCho値から, 脂肪肝予察のための判定値をLCATは830IU, T Choは110mg/d
lと設定した. 調査2では, 分娩予定25~7日前に採血した32頭について, 予察判定値による脂肪肝発生予察を行ったところ, LCATおよびTChoのオッズ比は, それぞれ7.4, 2.3となった. 以上より, 分娩予定3~1週間前のLCAT活性値を用いることによって, より高い確率で脂肪肝の発生予察が可能と思われた.
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